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歴代受賞者

2016年 The MIDORI Prize for Biodiversity 受賞者

アルフォンソ・アギーレ=ムーニョス

アルフォンソ・アギーレ=ムーニョス
島嶼(とうしょ)生態系保全グループ 事務局長 (メキシコ)

受賞のことば

The MIDORI Prize for Biodiversityを受賞することは大変な栄誉であり、メキシコ島嶼部の保全・回復に対する島嶼生態系保全グループの努力を顕彰していただけますことを、誇りに思っております。私を受賞者としてくださいました公益財団法人イオン環境財団と生物多様性条約事務局に、深い感謝の意を表します。

The MIDORI Prizeを受賞させていただくことで、私達は自然環境を修復するという熱意を高め、ますます活動に従事して参りたいという決意を強くいたしました。私達の取り組んでいる活動は、あらゆる場所、あらゆる規模で、強く求められているものです。またThe MIDORI Prizeによって、保全に対する学際的で包括的なアプローチの成功を多くの皆様に知っていただく機会をいただくことができました。私達は、自然科学と社会科学とを、環境文化やアート、地域コミュニティ、民間セクターとの協働、公共政策の発展に統合して参りたいと考えています。

現代および将来において世界は複雑な問題に直面していますが、こうした問題に取り組むことのできる経験豊かな新世代のリーダーを輩出して参りましたことは、私達の取組の具体的な成果です。また、メキシコ島嶼部環境の保全と回復は、市民社会、政府機関、メキシコ海軍、環境・自然資源事務局との緊密で責任ある関係を20年間にわたり築いてきたことの成果だと自負しております。
私達の業績は、生物多様性条約の目標-主に愛知ターゲット-に対しメキシコ政府が果たす貢献にも寄与しています。私、私達の団体、そして私達のパートナーにとって、The MIDORI Prizeは、私達の責務に希望を与えて下さるものであり、厳しい状況にあっても意志を貫けるよう力を授けて下さるものであり、対話と、人間と自然との調和がとれた関係性とを回復するために、私達が具体的な行動をとれるよう、導いて下さるものです。

授賞理由

自然科学と社会科学とを統合した学際的なアプローチを採用し、アルフォンソ・アギーレ=ムーニョス氏は、過去40年間にわたりメキシコの沿岸・島嶼部・海洋、とりわけ豊富で多様なメキシコ島嶼部の生態系の保全と持続可能な管理に、たゆまぬ努力を続けてきた。先進科学知識を応用し、大規模で、戦略的で、実際的な保全・回復活動を行ってきた彼の業績は、比類なく模範的なものである。

またアギーレ=ムーニョス氏は、15年にわたり、メキシコの市民社会機構「島嶼生態系保全グループ(Grupo de Ecología y Conservación de Islas, A.C., GECI)」の事務局長を務めてきた。GECIでは、熟達し専門性が高く信頼の厚い若き100名の専門家が、応用研究、海鳥の個体数および植生コミュニティの回復、侵略的外来種の駆除、環境教育、アウトリーチ活動、島嶼部のバイオセキュリティ、コミュニティ開発、公共政策、国際協力といった活動に従事している。

アギーレ=ムーニョス氏が不屈の努力によって成し遂げた保全活動の成果は、メキシコだけでなく世界各国の島嶼部の保全にも大きな影響を与えた。彼のリーダーシップに基づき、今日までに侵略的外来種の哺乳類59頭が37のメキシコ島嶼部から駆除されている。このことは、5万haを超える、ユニークな特性を持つ島嶼部の生息地が回復されていること(うち4万ヘクタールを超える領域を自然保護区に指定)、また世界的な生物多様性に幅広い影響を与えていることを意味している。こうした活動は、連邦政府機関、メキシコ海軍、地域の漁業者コミュニティ、国際機関、外国政府、学術機関、大学、幅広い寄付者のネットワークといった、彼の手腕による多様なパートナーとの積極的な協力体制の成果である。

アギーレ=ムーニョス氏は、メキシコ政府による2つの生物圏保護区、グアダルーペ島とバハ・カリフォルニア州太平洋諸島の創設の礎となった研究等、公共政策における実績も有する。こうした努力によって、現在、メキシコの全ての島嶼部が保護されている。また近年、「メキシコのガラパゴス」レビジャヒヘド諸島をUNESCO世界自然遺産に推薦する業務を取りまとめたことでも、連邦政府に貢献を果たした。

20年前には、メキシコの全ての沿岸周辺地域を法的に確立された保全地域とするよう提案。この革新的なツールによって、現在、数百キロメートルに及ぶ豊かなメキシコの沿岸が保護されている。こうした彼の業績は、愛知ターゲットの目標の多くに寄与している。

こうした傑出した業績により、アルフォンソ・アギーレ=ムーニョス氏は、The MIDORI Prizeに誠にふさわしい人物であるといえる。

略歴

1957年
メキシコ合衆国コアウイラ州 トレオン生まれ
1980年
バハ・カリフォルニア自治大学 (UABC)海洋科学部 海洋学学士号
1981年
鹿児島大学 個別プログラム水産学大学院課程修了
1993年
バハ・カリフォルニア自治大学 外国貿易学 大学院課程修了
1994年
バハ・カリフォルニア自治大学 海洋科学部 沿岸海洋学 修士号
1997年
イエズス会イベロアメリカン大学(UIA) 社会研究・文化・コミュニケーション学 大学院課程修了
1997年
スーマ・クム・ラウデ カレッジ・オブ・ザ・ノーザン・フロンティア(Colef)社会科学博士号(地域研究および持続可能な開発)

職歴

1975~1980年
バハ・カリフォルニア自治大学 海洋科学部・海洋学研究所 研究員・講師(地球史、海洋植物学、海洋無脊椎動物、プランクトン増殖・生理学、二枚貝生態生理学、二枚貝養殖)
1982~1986年
メキシコ連邦政府 財務省 天然漁業資源バンク 計画技術支援 北西地域ディレクター
1986~2002年
アグロマリノス株式会社(二枚貝養殖・海藻収穫業)創設代表者
1986年~現在
コンサルタント(環境保全および天然資源管理に関し、国内外の企業、政府機関、学術機関、国際機関を対象としたコンサルティングを実施)
2002年~現在
島嶼生態系保全グループ(GECI)事務局長(島嶼部の保全と回復を専門分野とする専門市民社会機構。100名の専門家を有する。メキシコ連邦政府、海外とも連携。)

主な顕彰・受賞歴

1975~1980年
バハ・カリフォルニア自治大学 研究フェローシップ
1980年
国際協力機構(JICA) 鹿児島大学 水産学個別プログラム 奨学金
1990~1994年
メキシコ-アメリカ カリフォルニアス委員会特別派遣団名誉委員(バハ・カリフォルニア州知事による任命)
1990~1995年
漁業・水産業メキシコ委員会 水産養殖部門 メキシコ副代表(創設者)
1996年
カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)・フォード財団 メキシコ地域プロジェクト 研究フェローシップ
1997年
スーマ・クム・ラウデ カレッジ・オブ・ザ・ノーザン・フロンティア(Colef)博士号
1997年
バハ・カリフォルニア州選挙委員会委員長(合意に基づきメキシコ合衆国議会より指名)
1998~2006年
「ビジョン・エンセナーダ2025」理事(エンセナーダ地方自治体における持続可能な開発と生活の質に関する市民社会機構)
2000~2007年
バハ・カリフォルニア州/ベーリング海 海洋保護区カナダ・アメリカ・メキシコ3ヶ国イニシアティブ 国際運営委員会創設メンバー
2006~2012年
フレンズ・オブ・メキシカン・ファンド(自然保護基金) 委員長
2010年
メキシコ自然保護アワード2010 審査委員(メキシコ自然保護区国家委員会(CONANP)委員長による招聘)
2008 年~現在
移入種に関する国家諮問委員会 生物多様性の知識および利用に関する国家委員会(CONABIO)委員
2014年
地球への愛アワード(生物学的保全に関する科学研究に対して)VWプログラム
2015年
ナショナル・ジオグラフィック誌・テレビサ社 プラネット・アワード(GECIとして助成金を受領)
2015年
エンセナーダ歴史博物館、古代カリフォルニア学会、エンセナーダ歴史資料館 、エンセナーダ自治体より 表彰

関連ウェブサイト

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