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2015/09/15
第4回「生物多様性 日本アワード」受賞発表

2015年9月15日、公益財団法人イオン環境財団 岡田卓也理事長(イオン株式会社名誉会長相談役)は、第4回「生物多様性 日本アワード」優秀賞に選ばれた5件のプロジェクトを発表いたしました。

 

第4回「生物多様性 日本アワード」優秀賞(都道府県順)

◆ エゾシカの先進的な資源的活用促進事業(一般社団法人エゾシカ協会)

◆ 大谷ハチドリ計画(Ohya Hummingbird Project)(気仙沼市立大谷中学校)

◆「お茶で琵琶湖を美しく・お茶で日本を美しく」プロジェクトを通じた生物多様性保全の取り組み
(株式会社伊藤園)

◆ 市民力を結集してドブ川を多様な生き物がすむ「ふるさとの川」に再生・復活
(NPO法人グラウンドワーク三島)

◆ 水辺環境の保全・再生の実践と地域活性化(九州の川の応援団/九州大学島谷研究室)

 

 

「生物多様性 日本アワード」は、2010年に日本で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催されるのに先立ち、生物多様性の保全と持続可能な利用の促進を目的に、当財団が2009年に創設した国内賞です。本アワードは、2010年に創設した国際賞「The MIDORI Prize for Biodiversity(生物多様性みどり賞)」と交互に隔年で開催されています。

第4回を迎えた本年は、利用・文化・遺伝資源といった「これも生物多様性だ」という新たな視点、持続可能な地域づくり、メインストリーミング、Behavior Change(行動を促すもの)、多様なセクター連携、中小の団体の技術への取り組み、日本らしさ、市民目線、今後の可能性など、様々な観点から「生物多様性とは何か」を考察したアワードとなりました。

日本在住の団体・個人の皆様からご応募いただいたプロジェクト総数は126件。この中から、生物多様性の保全と持続可能な利用に顕著な貢献が見られる5件が選ばれました。

10月20日(火)には、国際連合大学(東京都渋谷区)にて授賞式を開催し、5つの優秀賞の中から特に傑出したプロジェクト1件をグランプリとして発表します。なお、グランプリには表彰状と副賞200万円、優秀賞には表彰状と副賞100万円がそれぞれ贈呈されます。

授賞式の詳細、お申し込みにつきましては、公益財団法人イオン環境財団ホームページをご覧ください。

 

 

 

 

■ 受賞プロジェクト概要 (都道府県順)

 

エゾシカの先進的な資源的活用促進事業
一般社団法人エゾシカ協会(北海道)

 

エゾシカ協会 シカ問題が激化した北海道においてエゾシカの適正な個体数管理が強く求められる中、シカ肉を適正に利用し、森林保全に還元する仕組みを作ることは急務であった。しかし、食肉利用の際に最も重要な衛生管理体制が未整備であったため、エゾシカ協会は平成19年に厳しい衛生基準をクリアしている解体処理場の製品の認証制度を創設した。さらに平成24年からは認証処理場で処理された肉の加工食品の認証制度をスタート。平成27年からは肉の検査者となるシカ捕獲者の認証制度創設にも取り組んでいる。本プロジェクトは、安心安全なシカ肉の流通により、森とエゾシカと人との適正な関係を築き、シカ肉の資源的価値の向上に貢献するものである。

 

 

大谷ハチドリ計画(Ohya Hummingbird Project)
気仙沼市立大谷中学校(宮城県)

 

大谷中学校 寒流と暖流がめぐる三陸の恵まれた自然を有しながら、農林水産業は衰退し従事者も減少している。その衰退により地域の暮らしを支えていた自然は手入れもされなくなり、さらに松枯れや磯焼けなどの異変が追い打ちをかけるように発生した。この状況から地域の自然と暮らしを守るため、大谷中学校の生徒達は一人一人が「私にできること」を実践し始めた。松枯れが林業、磯焼けが漁業に関わることから、農業としてのふゆみずたんぼを加え、大谷の自然と農林水産業すべてを学ぶ体制を確立。このプロジェクトは地域機関や研究機関の協力を得ながら、幼小中が連携する「大谷ハチドリ計画」となり、地域の自然を守ることから地域を元気にする活動へと大きな広がりを見せている。

 

 

「お茶で琵琶湖を美しく・お茶で日本を美しく」プロジェクトを通じた生物多様性保全の取り組み
株式会社伊藤園(東京都)

 

伊藤園 「お茶で琵琶湖を守りたい」という思いから「琵琶湖環境保全活動」を毎年継続実施。地元ニーズと自然保全の専門性とを学習することで社員の能力向上を図りながら、持続可能な活動となる仕組みを作り上げた。この経験を活かし水環境を守る「お茶で日本を美しく。」活動を全国へと拡大。201の支店を「活動支援拠点(プラットフォーム)」として位置づけ、消費者・行政・NPO・コミュニティと連携しながら、寄付と社員・ボランティアによる実地活動を一体化。生物多様性の保全、「地域づくり」「人づくり」につながるCSR活動を目指し、活動を続けている。

 

 

市民力を結集してドブ川を多様な生き物がすむ「ふるさとの川」に再生・復活
NPO法人グラウンドワーク三島(静岡県)

 

GW三島 高度経済成長に伴う環境悪化により1960年代にドブ川と化した「源兵衛川」を再生するため、市民・NPO・企業・行政とのパートナーシップによる実践的・持続的なグラウンドワーク活動を実施。「水の都・三島」の原風景である水辺自然環境の復活に大きく寄与した。グラウンドワーク三島は、市民・NPO・企業・行政の利害調整を行い、それぞれの専門性を発揮できる地域協働の仕組みを構築し、地域課題を市民の発意により解決する「市民公協事業」を実践してきた。三島の生物多様性の再生を目的とした市民主導の活動は23年間にわたり発展的に継続されており、その活動の効果は「地域再生・観光振興」にまでも拡大している。

 

 

水辺環境の保全・再生の実践と地域活性化
九州の川の応援団/九州大学島谷研究室(福岡県)

 

九州の川の応援団 九州の川の応援団は、生物多様性に関する徹底した科学研究により、生物多様性に寄与する技術的な提案を作成、実施してきた。また、その成果を市民に対しビジュアル化して示すことで、生物多様性の素晴らしさ、豊かさの共有に努めている。川づくり事業計画への参加と主体的取り組み、小さな自然再生、市民の駆け込み寺、合意形成、自然再生を地域活性化へつなげるための仕組みづくり、環境教育等を、様々な主体と協働して実践し、河川環境における生物多様性保全・再生の取り組みを楽しく展開することで、地域の活性化に大きく貢献してきた。

 

 

 

■ 第4回生物多様性 日本アワード 概要

 

主催:公益財団法人イオン環境財団
後援:環境省、国連生物多様性の10年日本委員会
   株式会社共同通信社、朝日新聞社、毎日新聞社、読売新聞社
応募資格:日本国内に在住する団体・組織・企業・個人
対象の取り組み:生物多様性の保全、持続可能な利用、普及・啓発に貢献するプロジェクト

 

 

■ 第4回生物多様性 日本アワード 審査委員会 (敬称略)

 

<審査委員長>

岡田卓也 公益財団法人イオン環境財団 理事長

 

<審査委員>(五十音順)

赤池 学 ユニバーサルデザイン総合研究所 所長
岩槻邦男 東京大学 名誉教授
黒田大三郎 公益財団法人地球環境戦略研究機関 シニアフェロー
香坂 玲 金沢大学 地域創造学類 准教授
竹田純一 東京農業大学 農山村支援センター 事務局長
あん・まくどなるど 上智大学大学院 地球環境学研究科 教授

 

 

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