ニュースリリース

イオン大和ショッピングセンター生ごみ処理機(庫)爆発事故の原因調査について

イオン(株)
2004年4月23日

 2003年11月5日、神奈川県大和市のイオン大和ショッピングセンターでの生ごみ処理機(庫)爆発事故につきましては、消火に当たられた消防の方、警察の方をはじめ、11名の方々が負傷され、また地域の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけ致しましたことを、改めて、深くお詫び申し上げます。

 イオンではその後直ちに、各ショッピングセンター内の生ごみ処理機を総点検するとともにこの大和での爆発事故の重大性を深く認識し、その原因に関して、安全工学協会に依頼し自主的に調査を進めてまいりました。

 この程、その調査結果がまとまりましたので、ご報告申し上げます。調査結果概要は別紙・別図の通りでございますが、爆発事故に至った「事故原因と推定される問題点」及び「爆発事故に至るメカニズムの推定」を以下の観点からまとめたものとなっております。
【事故原因と推定される問題点】
1.生ゴミ処理機の設計段階における構造上の問題点
2.安全設計上の問題点
3.改造(乾燥機設置、運転モード変更等)に伴う問題点
4.ゴミ組成上の問題点
5.運転管理に関する問題点
【爆発事故に至るメカニズムの推定】
1.攪拌装置が停止し、ゴミの乾燥が進んだ可能性
2.槽内で火災が発生
3.火災により可燃性ガスが発生した可能性
4.爆発発生のメカニズムの推定
 全体として、安全工学協会によれば、生ゴミ処理機は、その機能・安全性に課題があるとの見解でありますが、イオンとしても、生ごみ処理機は元来安全なものという前提から、メーカーに対する安全性確認やマニュアル整備などの、安全性確保・確認に向けての一歩踏み込んだ取組みが抜け落ちていたという反省を致しております。当該の処理機はイオンとして初めて採用するもので、運用実績がない事の認識も欠けておりました。
 今回の事故を教訓に、「安全に絶対はない」ということを再認識するとともに、イオンとしても店舗並びにショッピングセンター内に導入した諸施設の安全について、機器を利用する立場から、その確認基準の再整備に鋭意取組んでいるところでございます。

 今回の事故を重大、且つ真摯に受け止め、これまでに収集できた情報として、今回の報告内容を開示させていただきますが、この報告は、純科学的な見地から、正確な実験によるデータをもとに事故原因を探求した結果であります。当然のことながら、特定人・特定団体の法的責任や社会的責任等の有無を判断したものではなく、これらについては警察の捜査結果を待つべきとの認識であることを申し添えます。

 尚、イオンとしては、今回の事故は、決して社会全体の環境保全・リサイクル活動へのブレーキとなるものではなく、当該機器に関する問題である、との認識から、これまで取組んでまいりました環境保全活動や、循環型社会形成に向けてのさまざまな取り組みは、安全性の更なる確保を前提としながら、引き続き積極的に推進していく決意です。
 関係各位のご理解、ご支援を心よりお願い申し上げる次第でございます。
生ゴミ処理機爆発事故の「原因調査報告書」の概要について

 当社が大和ショッピングセンター内のゴミ処理機爆発事故(以下、「本件ゴミ処理機爆発事故」)について社内調査した結果は以下のとおりです。当社は、本件ゴミ処理機爆発事故の厳密な科学的専門的調査をするため、安全工学協会に爆発事故の原因調査を依頼しました。同協会は事故調査委員会を設置し、爆発事故に至った原因要素を検討し、次に事故原因の推定を行なっています。安全工学協会が作成した報告書の要旨は次のような内容であります。なお、安全工学協会の調査報告は、純科学的な見地から、正確な実験によるデータをもとに事故原因を探求した結果であり、特定人・特定団体の法的責任や社会的責任等の有無を判断したものでないことを念のためお断りしておきます。
事故原因と推定される問題点
(1) 生ゴミ処理機の設計段階における構造上の問題点
発酵槽内の底部と攪拌装置(オーガ)の間にある隙間(約10cm)は攪拌されることがなく、デッドスペースとなっている。
スクリュータイプの攪拌装置が攪拌時にデッドスペースを圧縮することにより、槽内底部にある熱風吹出口に近いところでおが粉を固め、その層が生ゴミ内への均一な送気を阻害した結果、槽内が局部的に温度むらを発生する可能性がある。
熱風吹出口に近いデッドスペースには可燃性の木材チップが敷き詰められており、その上には槽外に排出されずに堆積したままのおが粉が混じった堆積物があり、デッドスペースの木材チップや堆積物を入れ替える構造にはなっていない。
(2) 安全設計上の問題点
ヒータの過熱防止のために、一定温度を超えるとヒータは停止するが送風は停止しない。
発酵槽外壁3ヶ所の温度センサーは、槽内温度は測定しておらず、内部の異常発熱を検知できない。
攪拌装置が停止しても、加熱された空気の吹き込みなど他の運転は停止しない。
(3) 改造(乾燥機設置、運転モード変更等)に伴う問題点
設置当初から生成物の含水率が高く臭気が発生するという恒常的な問題があった。
メーカー側による数回の運転モードの設定変更(処理機内部に吹き込む送気温度の変更)で槽内の送気温度を上げたが臭気の問題が改善せず、生成物回収業者(メーカーの下請)から肥料会社が含水率が高く生成物を引取らないという話しがあり、メーカーからイオン側への要請で乾燥機を設置した。
当初設計段階には「発酵型」であったが、乾燥を大きな目的とする「乾燥重視型」に変更されていった。
乾燥機設置以後、発酵槽の側面温度が30℃-50℃から30℃-90℃と最高温度が上がっていった。
(4) ゴミ組成上の問題点
副資材として多量のおが粉が投入されたため蓄熱性が増大し、更に発火時に可燃性ガスの発生量を増加させる可能性が認められた。
投入実績表によれば、処理されるゴミに偏りは認められず、事故後に採取されたゴミにも事故につながるような不適切な成分は見られなかった。
(5) 運転管理に関する問題点
一般的に、産業用の機器装置は、動力機器や加熱機器など機器固有の危険性があるが、その危険を回避するための安全装置の設置や、機器の運転基準などをメーカーは定めておく必要がある。しかし、再三の改造と運転モード設定変更に対応した運転マニュアル、異常時対応マニュアル等はメーカーから提供されなかった。
イオン側もメーカーに対し安全性の確認やマニュアル提供を要求・整備する必要がある。特に、生ゴミ処理機は一般の認識とは異なり成熟した装置ではないため、安全に対する一定の配慮が必要であった。
(これらにより、潜在的な火災危険性が増大し、いつ発火してもおかしくない状態に至っていたと考えられる)
爆発事故に至るメカニズムの推定
(1) 攪拌装置が停止し、ゴミの乾燥が進んだ可能性
本来、攪拌装置の目的は内容物の通気性を高め、発酵・乾燥を促進させることであるが、水分を多量に含む生ゴミが毎日投入され、攪拌により水分が比較的均一に含有され、結果的に温度上昇が抑制されていたと考えられる。
外壁温度の変化、生ゴミの焦げ、炭化状態から攪拌装置の横方向の攪拌が停止していたと推定される。
攪拌装置停止後も熱風が槽内の下部に吹き込まれていたため、下部のゴミの乾燥が進み、温度が上昇したと推定される。
(2) 槽内で火災が発生
実験によると乾燥ゴミの発熱開始温度が120℃であり、空気の流通による除熱より発熱速度が上回る部分が存在し、蓄熱により酸化速度が加速されて、発火に至ったと推定される。
 
実験結果によるゴミ自体の発熱・発火性について
投入された生ゴミは相当量の水分を含んでいるため発火しにくいが、乾燥させた試料の発熱・発火性に関する実験では120℃付近から発熱開始し、自然発火装置では、135℃で発火の可能性が確認された。
発酵槽に日常的に130℃から150℃の熱風を吹き込んでいたが、水分を多量に含む生ゴミが常時攪拌されることにより気化潜熱で蓄熱の危険を意識的ではないものの回避していたものと考えられる。
(3) 火災により可燃性ガスが発生した可能性
初期の火災による燃焼ガスと燃焼に伴う熱分解により多量の可燃性ガスが発生したと推定される。
実験による燃焼及び熱分解によって発生するガスの分析結果から、一酸化炭素や、メタン、エタンなどの低級炭化水素、ケトンやアルデヒドなどが生成することが確認された。
燃焼実験の結果、おが粉は多量の一酸化炭素を発生させることが認められた。
発酵による可燃性ガスが発生していた可能性も考えられるため、菌相解析を行ったが、その結果、発酵により爆発寄与量の可燃性ガスが発生する可能性は小さいと推定された。
(4) 爆発発生のメカニズムの推定
乾燥が進んだ生ゴミは一部が発火した後火災となり、燃焼や熱分解により多量の可燃性ガスが発生した。
この可燃性混合ガスが生ゴミ処理槽の空間部で爆発下限界濃度以上となり、火災の火炎等により着火したものと推定された。なお、着火源については特定されていない。

以上

リリース時期

上期=2月21日から8月20日
下期=8月21日から2月20日

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