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プロフィール

Castilla, Juan Carlos

Castilla, Juan Carlos (フアン・カルロス・カスティーリャ、チリ)

チリ カトリカ大学生態学部 海洋生態学 教授
The MIDORI Prize for Biodiversity 2012 受賞

フアン・カルロス・カスティーリャ博士(1940年生まれ)は、天然資源の持続可能な利用を行う上で重要となる禁漁区および管理水域の研究で知られている。「南米における海洋生態学のパイオニア」と言われるカスティーリャ博士は、カトリカ大学生態学部の教授として海洋生態学、群集生態学を教えているほか、25年以上前に禁漁区研究の拠点となったチリのラスクルーセスにある沿岸海洋調査ステーションの局長を18年にわたって務めている。

禁漁区での長期的研究において、カスティーリャ博士は「人間が除外された」禁漁域および季節的な禁漁を調べるため、地域の漁協と協力して実験を行った。博士は、カトリカ大学実験所に作った小規模海洋保護区を通じて、海洋保護区が周辺海域の資源の増産や生物多様性の保全につながることを科学的に証明、この成果をもとに、小規模海洋保護区と持続可能な漁業の組み合わせを提唱し、チリ全体に広めた。

こうした取り組みは、チリの漁業・養殖業法、とりわけ底生生物資源の管理に大きな影響を与えただけでなく、資源の持続的利用と沿岸生態系の保存において零細漁業が果たす役割を明確にし、チリ沿岸地域での零細漁業を保護する制度をチリで実現した。また、Jane Labuchenko教授、Bruce Menge教授、Steve Gaines教授らチリやアメリカの研究者とともに、PEW財団海洋保全プロジェクト、メロン財団沿岸生態系プロジェクト、沿岸海洋学際研究パートナーシップ等の事業に参画しており、これらのプロジェクトについて60以上の論文を発表している。

こうした活動は、沿岸所有権や管理・開発水域、共同管理に関連したカスティーリャ博士の理論と実践により高い成果をあげている。また、生物多様性の保全と持続的利用の両立において、零細漁業の役割を世界で認知させ、生物学だけでなく新たな法制度の提案までを担ったことは、世界における生物多様性に関する取り組みにおいて発展的な影響力を持っている。

現在、博士は30以上の大学に招聘され、講義やセミナーを行っており、250以上に及ぶ論文を発表している。また、海洋公園ならびに保護区に関する先駆的な活動、沿岸資源の共同管理、海洋生物多様性の保全における業績が認められ、数々の賞を受賞している。

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