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2012/10/20
COP11閉幕―生物多様性保全資金 倍増に合意

cop-11-logo-400.jpgインド・ハイデラバードで開かれていた生物多様性条約第11回締約国会議は、生物多様性保全に必要な資金を2015年までに倍増させるという締約国政府の合意を得て10月20日に閉幕しました。先進国は、途上国による国際的な生物多様性目標および2011-2020年の生物多様性戦略目標の達成に向け資金を倍増させることに合意、一方、インドやアフリカ諸国などの途上国は生物多様性条約に関する国家予算を増額すると誓約しました。

 

COP11においては、海洋の生物多様性も主要議題となりました。締約193ヶ国は、生態学的・生物学的に重要な海域の多様なリストを分類することに合意。国連環境計画は報告書「Protected Planet 2012」において「1990年以来保護地域が60%増加したにもかかわらず世界で最も生物多様な地域の半分が保全されていない」と指摘、また「2020年までに海域の10%を保護するという愛知目標を達成するためには、オーストラリアの面積とほぼ同様の800万㎡の海洋・沿岸域を保全対象として追加する必要がある」としています。この他、締約国は、船舶による水中のノイズが生物多様性に及ぼす影響や海洋ごみの問題についてさらなる調査が必要であるとの認識を強めました。また、漁業が生物多様性に及ぼしうる影響について漁業管理団体がより大きな役割を果たすことが求められています。

 

愛知目標達成のため、COP11では世界的な進捗についての再考察と生物多様性国家戦略および行動計画の改正が行われ、締約国間の科学技術協力推進の必要性が再確認されました。優れた実践法、ガイドライン、学習ツール等の情報をオンラインで提供する「生物多様性国家戦略および行動計画フォーラム」の設立や生物多様性国家計画に生態系の経済的・社会的・文化的な価値を統合するイニシアティブ「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」の実施に期待が寄せられています。さらには、地球温暖化防止条約、砂漠化防止条約等関連諸団体の支援を受け、荒廃地の15%を回復するという愛知目標15の達成に向け新たな業務が展開されました。また、熱帯・亜熱帯地域における野生生物の狩猟について、その持続可能な利用と管理を改善する提案が採択されました。こうした地域においては野生生物の大規模な狩猟や取引によって「森林の空洞化」が引き起こされ、食糧確保や、森林および他の生態系における生態学的安定性が脅かされています。

今後、生物多様性条約事務局は 食糧農業機関等とともに「持続可能な野生生物管理に関する協調パートナーシップ」を設立し、途上国による生物多様性条約関連条項の実施についても支援を行う予定です。

 

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