English

Topics

2012/10/22
The Midori Prize for Biodiversity 2012 受賞者フォーラム開催

公益財団法人イオン環境財団は、生物多様性条約事務局との共催により、10月22日、東京の国際連合大学ウ・タント国際会議場において、第2回「The Midori Prize for Biodiversity(生物多様性みどり賞)」の受賞者フォーラムを開催しました。

フォーラムでは、「The Midori Prize for Biodiversity 2012」の受賞者3名による講演と、東京都市大学環境情報学部教授の涌井史郎教授をモデレーターとする受賞者とのパネルディスカッションが行われました。

07_RCC_4170.JPG人間が管理している小規模海洋保護区においては、自然のままの状態の海洋区域よりもより生物が多様であることを科学的に証明したファン・カルロス・カスティーリャ博士は、「人々の暮らしと海洋保全活動との統合」と題し、環境と生活は一体であるとの考えから、環境保全と海洋管理を組み合わせ、沿岸地域漁業者の組織化により700の零細コミュニティ、25,000人の漁業者の生活向上に貢献することとなった博士の取り組みについて語られました。

 

09_RCO_8306.JPGまた「自然との調和を保ちつつ個人の幸せを叶える」ことを信念とするロドリゴ・ガメス=ロボ博士は、「自然との共生を求めて」と題し、3万種の生物の標本作成や、一般市民にも分かりやすい言葉を用いた情報提供など、様々な環境教育活動を通じ、地元住民のバイオリテラシー(多様な生物を正確に識別し、その性質を知り、生かす知恵)向上に寄与することとなったご自身の取り組みについて語られました。

 

11_RCO_8419.JPG国土の回復と人々の生活向上を両立させたいとの思いから活動を続けてきたボ・クイ博士は、「生物多様性の保全-植樹と土地の再緑化」と題し、地元住民の手を借りつつ、枯葉剤の影響で深刻な状況にあったマングローブの再生に成功した植林活動について語られました。荒廃した森林を7万ヘクタールのマングローブ林に再生させたことによって、森林は燃料・建設材として住民に活用されることとなりました。またこのことが生態系の回復にも繋がり、ヒガシオオヅルが40年ぶりに1千羽飛来し、地域の景観が劇的に変わったということです。

 

20121106.jpgパネルディスカッションでは、カスティーリャ博士は、チリでの2010年震災の際に、震災前に漁業コミュニティが組織化されていたことが功を奏し短時間でコミュニティが回復したことを例とし、日本でも漁業コミュニティの組織化や小規模海洋保護区の共同管理が震災対策として活かせるのではないかと語られました。

また環境教育に取り組んできたガメス博士は、「明日何を発見するかワクワクして眠れない」、「新しい知識を学び、他のコミュニティと共有したい」と話す地元住民が出てくる等、博士の環境教育による住民の意識の変化について語られました。

ボ・クイ博士は、枯葉剤の被害についての情報が錯綜する中、自身の目で事実を確認するために現地調査を行い、実際に枯葉剤が生態系や人体に悪影響を与えることが分かったため各国の専門家との議論の場を設け、米国に協力を要請することで、マングローブ林の再生に成功したことについて語られました。

 

 

講演タイトル

 

人々の暮らしと海洋保全活動との統合

フアン・カルロス・カスティーリャ博士

チリ カトリカ大学生態学部 教授

 

自然との共生を求めて

ロドリゴ・ガメス=ロボ博士

コスタリカ生物多様性研究所(インビオ)代表

 

生物多様性の保全-植樹と土地の再緑化

ボ・クイ博士

ベトナム国家大学ハノイ校 自然資源管理・環境研究センター 名誉総長

English