English

Topics

2014/04/24
人々の生活の向上に貢献する森林再生:CIのグリーン・ウォールプロジェクト(インドネシア)-日比保史

 

コンサベーション・インターナショナル(CI)では、ダイキン工業(株)様からのご支援により、2008年からインドネシア・ジャワ島のグヌングデ・パングランゴ国立公園周辺部において「グリーン・ウォールプロジェクト」を推進しています。このプロジェクトは、貴重な原生林を主体とした国立公園に隣接するバッファーゾーン(周辺部)において、その名のとおり植林により「緑の壁」をつくることによって、不法侵入・居住や違法伐採、密猟、違法な農地への転換など人口の流入による国立公園への開発圧力を緩和し、森林の持続的な保全を目指すプロジェクトです。 

このプロジェクトは、ダイキン社製の省エネ型エアコンのユーザーがエアコンの「エコ運転」をすることによりダイキンさんから現地へのサポートが促されるしくみになっており、インドネシアの森林保全に日本の消費者が間接的に「参加」できる点も特徴のひとつです。

 

写真1_Hibi.png

インドネシアの首都ジャカルタから南へ約80kmに位置するグヌングデ・パングランゴ国立公園は、約2万ヘクタールにIUCNレッドリストで絶滅危惧種に指定されているジャワギボン、ジャワクマタカ、ジャワヒョウなどこの地域固有の絶滅危惧種が生息する、ジャワ島に残された最後の森林地帯の一部、そして地球上でも最も保全を優先すべき地域—「生物多様性ホットスポット」の一部でもあるとともに、周辺や下流の都市部の住民にとっては、雨季には洪水を防ぎ、乾季には水を供給し続ける天然の巨大な貯水池の役割を果たしています。

写真2_Hibi.png

グリーン・ウォールプロジェクトでは、2011年までの第一期に国立公園の周辺部で200ヘクタールの植林を実施し、2011年からの第二期では、国立公園と第一期植林地の間を埋めるように、さらに100ヘクタールの植林を行ない、生物多様性コリドー(回廊)を創ることによって、効果的な生物多様性の保全に取り組んでいます。綿密な調査に基づく植林計画により、単に樹木の数が増えるだけでなく、世界有数の原生熱帯林を効果的に保全するとともに、森林が持つ水源涵養や水質浄化という「生態系サービス」を維持/再生し、将来にわたって流域の人々がきれいな水を使い続けられるようになることを目指しています。また、元々豊かな森林が失われ、荒廃が進んだ地域での森林再生は、二酸化炭素を大気中から吸収/固定し、気候変動の緩和にも貢献します。

 

写真3_Hibi.png

プロジェクトではさらに、周辺コミュニティへの支援にも取り組んでいます。地域世帯の一ヶ月の収入は5千円に満たないことも多いため、代替生計手段としての持続的な農業(キュウリ、キャッサバ、ショウガなど)、アグロフォレストリー(自生樹種の植林による森林再生だけでなく、果樹などの植林による生計向上)や家畜飼育、淡水魚養殖の導入支援を行っています。特に淡水魚の養殖は、森林再生による水源保全によって可能となりました。また、水源保全により、超小型水力発電機の導入と簡易水道の整備により、村に初めて電気やきれいな水が供給出来るようにもなりました。

写真4_Hibi.png

そして、何よりも、これらの取り組みの効果が、プロジェクトの終了後にも持続していけるように、周辺コミュニティや学校を対象とした環境教育も実施し、地元の人々が森林生態系の重要性を知り、理解を深め、保全と生計の両立を将来にわたって図れるようにすることにも取り組んでいます。

 

(日比保史、(一社)コンサベーション・インターナショナル・ジャパン 代表理事)

 

 

関連ウェブサイト

CIジャパン ホームページ

グリーン・ウォールプロジェクト紹介ページ(CIジャパン)

グリーン・ウォールプロジェクト紹介ページ(ダイキン工業)

共立女子大学、女優中嶋朋子さんとのコラボレーションによるグリーン・ウォールプロジェクトの紹介ビデオ

 

 

English