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2015/07/31
韓国からメキシコへ-COP13に向けて-
-奥田青州 生物多様性条約事務局アソシエイトプログラムオフィサー-

topics_20150731_01.jpg 昨年10月に韓国の平昌で開催された生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)から早9ヶ月が過ぎました。世界各国からたくさんの方々が集まり、生物多様性に関する様々な議論が行われた2週間。今も脳裏に鮮やかに蘇る、自然豊かな会場、朝晩の会場の冷え込み、夜空にほんのりと赤く輝いていた皆既月食、名古屋議定書第1回締約国会議の開会式、夜遅くまで続いた議論。振り返ればあっという間でしたが、その時その瞬間は密度の濃い時間が流れていたことを思い出します。

 

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MIDORI賞の受賞式もCOP12の大きな思い出の一つです。大臣・副大臣級が集まるハイレベルセグメントの昼食に合わせて開催された授賞式は、準備には手間取りましたが、本番は韓国政府の御協力もあって、素晴らしい式典とすることができました。また、3名の受賞者のみなさまはその後もそれぞれにご活躍されていて、受賞者に関するニュースを読む度に嬉しい思いに駆られます。

 

 

topics_20150731_03.jpg COP12では、地球規模生物多様性概況第4版(GBO4)が公表され、それに基づき、生物多様性戦略計画2011-2020及び愛知目標の中間評価が行われました。この生物多様性戦略計画2011-2020及び愛知目標とは、2010年に愛知県名古屋市で開催されたCOP10において合意された生物多様性に関する2011年以降の世界目標のことです。COP12では、愛知目標達成に向けた取組について、進展はあるが目標達成には不十分であり、目標の達成には追加的な行動が必要である、と評価されました。自然と共生できる世界を目指して、国際社会はより一層の努力が求められています。

 

 

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さて、第13回目となる次の締約国会議(COP13)は、2016年12月にメキシコのカンクンで開催されます。COP13は、生物多様性戦略計画2011-2020及び愛知目標の目標年である2020年の折り返し地点を少し過ぎたタイミングであり、愛知目標の達成に向けて、引き続き目標の達成状況や達成に向けた方策等が議論されます。また、ホスト国であるメキシコ政府は、生物多様性の主流化をハイレベルセグメントのメインテーマにすると表明しており、COP13ではこうした主流化に向けた取組も大きな議題の一つになるでしょう。

 

 

COP13に向けた大きな会議として、今年11月の第19回科学技術補助機関会合(SBSTTA 19)、来年4月のSBSTTA 20、そして5月の第1回条約及び両議定書の実施のための補助機関会合(SBI 1)があります。いずれも生物多様性条約事務局のあるカナダ・モントリオールで開催されます。これらの会議の中で議論された内容は勧告として取りまとめられ、COP13で議論されます。 また、今年9月には、2015年までの国際社会の共通目標であるミレニアム開発目標(MDGs)に替わる新たな開発目標(SDGs)が国連総会で策定される予定であり、愛知目標の達成に向けた取組は、こうした新たな開発目標とも連携・調和して進めていくことも重要です。

 

生物多様性に関する課題は多岐にわたり、それらの課題を一気に解決するための秘策はないのですが、自然と共生できる世界を目指して一つ一つ取組んでいきたいと思います。

 

 

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(奥田青州、生物多様性条約事務局アソシエイトプログラムオフィサー))

 

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