自然科学と社会科学とを統合した学際的なアプローチを採用し、アルフォンソ・アギーレ=ムーニョス氏は、過去40年間にわたりメキシコの沿岸・島嶼部・海洋、とりわけ豊富で多様なメキシコ島嶼部の生態系の保全と持続可能な管理に、たゆまぬ努力を続けてきた。先進科学知識を応用し、大規模で、戦略的で、実際的な保全・回復活動を行ってきた彼の業績は、比類なく模範的なものである。
またアギーレ=ムーニョス氏は、15年にわたり、メキシコの市民社会機構「島嶼生態系保全グループ(Grupo de Ecología y Conservación de Islas, A.C., GECI)」の事務局長を務めてきた。GECIでは、熟達し専門性が高く信頼の厚い若き100名の専門家が、応用研究、海鳥の個体数および植生コミュニティの回復、侵略的外来種の駆除、環境教育、アウトリーチ活動、島嶼部のバイオセキュリティ、コミュニティ開発、公共政策、国際協力といった活動に従事している。
アギーレ=ムーニョス氏が不屈の努力によって成し遂げた保全活動の成果は、メキシコだけでなく世界各国の島嶼部の保全にも大きな影響を与えた。彼のリーダーシップに基づき、今日までに侵略的外来種の哺乳類59頭が37のメキシコ島嶼部から駆除されている。このことは、5万haを超える、ユニークな特性を持つ島嶼部の生息地が回復されていること(うち4万ヘクタールを超える領域を自然保護区に指定)、また世界的な生物多様性に幅広い影響を与えていることを意味している。こうした活動は、連邦政府機関、メキシコ海軍、地域の漁業者コミュニティ、国際機関、外国政府、学術機関、大学、幅広い寄付者のネットワークといった、彼の手腕による多様なパートナーとの積極的な協力体制の成果である。
アギーレ=ムーニョス氏は、メキシコ政府による2つの生物圏保護区、グアダルーペ島とバハ・カリフォルニア州太平洋諸島の創設の礎となった研究等、公共政策における実績も有する。こうした努力によって、現在、メキシコの全ての島嶼部が保護されている。また近年、「メキシコのガラパゴス」レビジャヒヘド諸島をUNESCO世界自然遺産に推薦する業務を取りまとめたことでも、連邦政府に貢献を果たした。
20年前には、メキシコの全ての沿岸周辺地域を法的に確立された保全地域とするよう提案。この革新的なツールによって、現在、数百キロメートルに及ぶ豊かなメキシコの沿岸が保護されている。こうした彼の業績は、愛知ターゲットの目標の多くに寄与している。
こうした傑出した業績により、アルフォンソ・アギーレ=ムーニョス氏は、The MIDORI Prizeに誠にふさわしい人物であるといえる。