生物多様性みどり賞(国際賞) 「国際生物多様性年」であった2010年、イオン環境財団が
20周年を迎えたことを記念して「The Midori Prize for Biodiversity」
(生物多様性みどり賞)を創設しました。
「国際生物多様性年」であった2010年、イオン環境財団が20周年を迎えたことを記念して「The Midori Prize for Biodiversity」(生物多様性みどり賞)を創設しました。

The MIDORI Prize for Biodiversity 2018 受賞者

※受賞者のプロフィールは受賞当時のものとなります。

キャシー・マッキノン (イギリス)

国際自然保護連合 世界保護地域委員会(IUCN/WCPA)議長

受賞のことば

この度は、生物多様性みどり賞をいただき、大変光栄に存じます。 長年に渡る自然保全活動の中で、世界中の壮大な自然を訪れる機会を 得て、政府役員、NGO、先住民、地域住民など、保全活動の擁護者た ちと、共に働くことができました。この賞を受賞するにあたり、 パートナーや同僚である彼らに、心より感謝いたします。彼らの多く は、限られた資金、あるいは困難で危険な環境下において、自然公園、 保護地区を維持、管理、修復しています。そしてそれは、現在、 そして未来の世代のために、生息地や種を守るための活動です。

「保護地域」は生物多様性保全の基礎です。人々の幸福と福祉、食料と水の安全、気候変動適応の 助力、安心安全な保養地や健康的かつ持続可能な暮らしの提供など、社会に対し多くの利益をもたら します。現在、我々が取り組む課題は、保護・保全地域、またその地域を維持、管理する人々を尊重 し、支援することで、名古屋で設定された愛知ターゲットの目標 11 について 2020 年までに達成するこ とです。

受賞者の功績

オックスフォード大学で動物学を学んだ、マッキノン氏は、国際舞台で、長きに渡り自然保護を擁護 してきた。世界で最も美しく生物多様性に富んだ地域の保護と管理に努め、人類にとって差し迫った 課題である、気候変動、防災・減災、健康と福祉、持続可能な発展に取り組んできた。

マッキノン氏は、主に3つの分野において貢献し、多大な影響力を与えてきたことが、みどり賞受賞 に値する。まずは、フィールド生物学者として、10 年間インドネシアにて、熱帯生態学研究、保護区 の計画と管理に従事した。その結果、複雑で、豊かな生物多様性を有するインドネシアにおける生態 学の、世界的な専門家の一人として認められている。

2 つ目は、主席生物多様性専門家として世界銀行のプロジェクトに携わったことだ。16 年間の世界銀行 でのキャリアで、知識、熱意、ネットワークスキルを生かし、生物多様性保全と自然資源管理を強化 するための数多くのプロジェクトに従事した。それは、アフリカ、アジア、中南米、東ヨーロッパ、 そして旧ソ連地域での活動に渡る。保護区の援助、または、開発プログラムにおける、生物多様性保 全の主流化、周辺地域での持続可能な生計手段の強化に取り組んだ。これらのプログラムには様々な 政府機関および NGO、さらに、彼女の保護活動から直接的に恩恵を受けた人々も関与している。

3 つ目には、IUCN 世界保護地域委員会(WCPA)における活動が挙げられる。当初は副委員長として、次 に、2015 年に委員長 に選出され、現在に至る。以前よりIUCNやその委員会を熱心に支援してきたが、 2010 年からは、フルタイムのプロボノとして WCPA に関わっている。さらに、多くの個人的資源を、 IUCN が地球規模でのミッションとして掲げている「自然を尊び保全する公正な世界(a just world which values and conserves nature)」のために捧げている。マッキノン氏のリーダーシップの下、 世界保護地域委員会は、世界中の革新的で科学に基づく保全活動の中心となってきている。