MIDORI News – The MIDORI Press /ef/midoripress2020/ Fri, 04 Dec 2020 10:15:47 +0000 ja hourly 1 メリーナ・サキヤマ氏からの受賞メッセージ /ef/midoripress2020/ja/topics/midorinews/6380/ Fri, 04 Dec 2020 10:15:47 +0000 /ef/midoripress2020/?p=6380

第6回生物多様性みどり賞受賞者のお一人であるメリーナ・サキヤマ氏(生物多様性グローバルユースネットワーク(GYBN)共同創設者)より、喜びの受賞メッセージが届きました。

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【メリーナ・サキヤマ氏略歴
生物多様性グローバルユースネットワーク(GYBN)共同創設者

2010年に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議と、それに先立つ国際ユース会議などを通じ、同じビジョンを持つ若者たちに出会う。これを契機として、クリスチャン・シュヴァルツァー氏とともに、生物多様性グローバルユースネットワーク(GYBN)を創設した。GYBNは、自然と共生する未来を創るため、若者とその組織のエンパワーメントを目的とした国際的な連合を構築することを目的とする。GYBNの一員として、能力開発やユースのエンパワーメントプログラムを主導することで、数多くの若いリーダーや若者主導のイニシアティブを生み出し、愛知目標や条約の実施に貢献した。現在では、145カ国からなる551のグループ、組織、ムーブメントまでに成長し、プロジェクトの実施、政策立案、生物多様性に関する意識向上などに関して互いに協力し合いながら、様々な問題解決に向け、国境や分野を越えた活動を展開している。

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ウィルシー・エマニュエル・ビニュイ氏からの受賞メッセージ /ef/midoripress2020/ja/topics/midorinews/6361/ Wed, 11 Nov 2020 09:21:24 +0000 /ef/midoripress2020/?p=6361

第6回生物多様性みどり賞受賞者のお一人であるウィルシー・エマニュエル・ビニュイ氏(環境活動団体「カメルーン ジェンダー・環境ウォッチ」 (CAMGEW)創設者)より、喜びの受賞メッセージが届きました。

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【ウィルシー・エマニュエル・ビニュイ氏略歴】
環境活動団体「カメルーン ジェンダー・環境ウォッチ」 (CAMGEW)創設者

環境問題を解決しながら、ジェンダー平等を目指す環境活動団体「カメルーン ジェンダー・環境ウォッチ」を2007年に設立。この団体は「地球規模で考え、地域で行動しよう」をスローガンとして掲げる。地域社会を巻き込んで、樹木の種子や苗の収集、苗床開発、植林、森林パトロールの組織化を図り、森林保全と再生に取り組む。また、ウィルシー氏の養蜂業に関するイニシアティブは、女性の雇用機会の創出、及び持続可能な収入源を地域社会にもたらし、さらに当該地域の森林火災の劇的な減少にも貢献した。その他、森林地域の居住者の啓発のための環境教育の実践、生物多様性のホットスポットの再生に取り組む。養蜂家のエンパワーメントにも力を入れ、養蜂協同組合の組織化や、ハチミツの質、生産量の改善を促進している。

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ポール・エベール氏からの受賞メッセージ /ef/midoripress2020/ja/topics/midorinews/6293/ Mon, 26 Oct 2020 23:58:25 +0000 /ef/midoripress2020/?p=6293

第6回生物多様性みどり賞受賞者のお一人であるポール・エベール氏(カナダ ゲルフ大学 統合生物学部教授)より、喜びの受賞メッセージが届きました。

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【ポール・エベール氏略歴】
ポール・エベール氏は、カナダ ゲルフ大学で統合生物学部教授を務めると同時に、同大学の分子生物多様性カナダ研究委員長、生物多様性ゲノミクスセンターのディレクターを兼務する。過去20年間、あらゆる生命体を、DNA情報に基づき適切な生物種に識別する、「DNAバーコード」という革新的な手法の開発に取り組んできた。得られた生物多様性に関する情報は、ライブラリに蓄積され、1千万件以上に上る。DNAバーコードに関する国際事業共同体を設立するなど、地球上の生物多様性に関する人類の理解に革命をもたらす研究アライアンスを構築した。こうした取り組みは、自然の価値に対する人類の認識を向上させ、生物多様性の保全や生物多様性のモニタリングの一助となるとともに、生物多様性に関する知識をより身近なものにすることにも貢献した。

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生物多様性条約事務局 エリザベス・マルマ・ムレマ事務局長からのメッセージ /ef/midoripress2020/ja/topics/midorinews/6261/ Mon, 26 Oct 2020 23:04:00 +0000 /ef/midoripress2020/?p=6261

生物多様性条約事務局 エリザベス・マルマ・ムレマ事務局長から、生物多様性みどり賞2020受賞者へ、祝辞をいただきました。

2020年の受賞者は、ポール・エベール氏(カナダ ゲルフ大学 統合生物学部教授)、メリーナ・サキヤマ氏(「生物多様性グローバルユースネットワーク(GYBN)」共同創設者)、ウィルシー・エマニュエル・ビニュイ氏(環境活動団体「カメルーン ジェンダー・環境ウォッチ」 創設者)の3名です。

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生物多様性みどり賞は、公益財団法人イオン環境財団と、国連生物多様性条約事務局が共催し、
生物多様性の保全と持続可能な利用に関して、顕著な功績のある個人を顕彰する国際賞です。

第6回生物多様性みどり賞(The MIDORI Prize for Biodiversity 2020)審査委員会

※敬称略

【審査委員長】
岡田卓也
公益財団法人イオン環境財団 理事長

【委員長代理】
岩槻 邦男
イオン環境財団 理事

【審査委員】 ※アルファベット順
黒田 大三郎
地球環境戦略研究機関 シニアフェロー

スーザン・ガードナー
国連環境計画 エコシステム ディビジョン ディレクター

あん・まくどなるど
上智大学大学院 地球環境学研究科 教授

エリザベス・マルマ・ムレマ
生物多様性条約事務局 事務局長(みどり賞共催者)

涌井 史郎
東京都市大学 環境情報学部 特別教授

吴宁
中国科学院 成都生物学研究所 所長

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「第6回 生物多様性みどり賞(The MIDORI Prize for Biodiversity 2020)」受賞者決定 /ef/midoripress2020/ja/topics/midorinews/5967/ Wed, 26 Aug 2020 04:40:46 +0000 /ef/midoripress2020/?p=5967

「第6回 生物多様性みどり賞(The MIDORI Prize for Biodiversity 2020)」 の受賞者が決定しました。

2020年の受賞者は、ポール・エベール氏(カナダ ゲルフ大学 統合生物学部教授)、メリーナ・サキヤマ氏(「生物多様性グローバルユースネットワーク(GYBN)」共同創設者)、ウィルシー・エマニュエル・ビニュイ氏(環境活動団体「カメルーン ジェンダー・環境ウォッチ」 創設者)の3名です。

生物多様性みどり賞は、生物多様性の保全と持続可能な利用に関して、顕著な功績のある個人を顕彰する国際賞です。公益財団法人イオン環境財団と、国連生物多様性条約事務局が共催、毎回3名の個人が顕彰されます。

受賞者には、それぞれ記念品、楯、活動支援として副賞 10 万米ドルが授与されます。

2020年は、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、授賞式と受賞者フォーラムは実施することはできませんが、今後、受賞者と彼らの活動について、オンラインによる広報を実施予定です。

受賞者の詳細

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「The MIDORI Prize for Biodiversity 2020(第6回 生物多様性みどり賞)」受付は終了しました /ef/midoripress2020/ja/topics/midorinews/5527/ Fri, 06 Mar 2020 03:50:59 +0000 /ef/midoripress2020/?p=5527

「The MIDORI Prize for Biodiversity 2020(第6回 生物多様性みどり賞)」の公募推薦を受け付けております。

本賞は、公益財団法人イオン環境財団と生物多様性条約事務局の共催による隔年開催の国際賞で、生物多様性の保全と持続可能な利用に関し顕著な功績がみとめられる個人3名を顕彰するものです。

推薦は、イオン環境財団のウェブサイトにて受け付けており、受付期間は2020年3月30日までとなります。

なお本賞は、東京において2020年9月に開催される授賞式において授与されます。受賞者にはそれぞれ、楯、記念品、副賞(10万USドル)が贈られます。

「The MIDORI Prize for Biodiversity 2020」について

主催:公益財団法人イオン環境財団
共催:生物多様性条約事務局
後援:環境省
公募締切:2020年3月30日
お問い合わせ:midoriprize@dentsu-eo.co.jp

第6回 生物多様性みどり賞 応募・お問い合せフォーム

受付は終了しました

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みどり(MIDORI) /ef/midoripress2020/ja/topics/midorinews/5305/ Thu, 05 Mar 2020 05:35:42 +0000 /ef/midoripress2020/?p=5305

「みどり」は、新芽や若葉の色、あるいは植物そのものを表す言葉であり、森林や自然、環境を指す言葉としても使われます。

「みどり」という言葉が登場するのは、平安時代(794年〜1192年)になってからといわれています。本来「瑞々しさ」を表す意味であったらしいのですが、それが転じて新芽の色の意味になったようです。

一説には、特定の色を表す以外に、「一面にまじり気のない」「一色で塗りつぶされている」様子を表す言葉であったといわれています。

ちなみに、英語の「グリーン(green)」は、「草(grass)」や「育つ(grow)」と同じ語源から生まれた言葉であり、現代の日本語では「みどり」と同様の意味で使われています。

漢字では、「緑」のほか、「碧」や「翠」とも表記されます(「翠」はカワセミの羽根の色を指す言葉であったそうです)。「碧」や「翠」は、やや青みの強い色を指すことが多く、欧米人にとっての「グリーン」は、日本人にとっての「緑」よりも明るく鮮やかな色を指すといわれています。

詩的・文語的な表現として、海の深く青い色を表すのに「みどり」を使うことがあります。海と山に囲まれた環境の中で過ごしてきた日本人にとって、「みどり」は地上にある自然を指す言葉だけでなく、生命の源である海を表現する言葉でもありました。

また、女性の艶やかな髪の色を「みどりの黒髪」、生まれたばかりの子どもを「みどり児」と言うなど、本来の意味である「瑞々しさ」を表現する言葉としても使われています。

このように「みどり」は、単に色を表す言葉でなく、豊かな自然、新鮮なイメージを表す言葉として、日本語の中に深く浸透しています。「みどり」が持つ言葉の意味をあらためて知ることが、日本人と自然・生命とのかかわりの歴史を知ることにつながり、これからの生物多様性のあり方を考えるヒントになるのではないでしょうか。

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The MIDORI Prize for Biodiversity 2018授賞式と受賞者フォーラムを開催しました /ef/midoripress2020/ja/topics/midorinews/5466/ Tue, 27 Nov 2018 00:54:17 +0000 /ef/midoripress2020/?p=5466

2018年10月31日、The MIDORI Prize for Biodiversity 2018の授賞式が、東京パレスホテルで開催されました。

The MIDORI Prize は、公益財団法人イオン環境財団と国連環境計画・生物多様性条約事務局の共催による隔年開催の国際賞で、生物多様性の保全と持続可能な利用のための環境活動にグローバルなステージで貢献している個人を顕彰するものです。

2018年の受賞者は、キャシー・マッキノン氏(国際自然保護連合(IUCN)世界保護地域委員会(WCPA)議長/イギリス)、アサド・セルハル氏(レバノン自然保護協会(SPNL)事務局長/レバノン)、アブドゥル・ハミド・ザクリ氏(前マレーシア首相付科学顧問/マレーシア)の3名です。

受賞者には、イオン環境財団岡田卓也理事長より、木製楯、記念品、および生物多様性の保全活動推進を目的として副賞(10万USドル)が、それぞれ贈られました。本賞の共催者代表として、生物多様性条約事務局のパスカ・パーマー事務局長より、ビデオメッセージが届きました。また、後援者代表として環境省事務次官森本英香様より、祝辞をいただきました。その他、レバノン共和国駐日日本国特命全権大使ニダル・ヤヒヤー閣下にもご臨席を賜り、祝辞を頂戴いたしました。

受賞者フォーラム

授賞式に続き、「The MIDORI Prize for Biodiversity 2018受賞者フォーラム」が開催されました。
The MIDORI Prize 2018の受賞者3名による講演に続き、末吉竹二郎氏(イオン環境財団評議員、公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパン会長)をモデレーターとしてお迎えし、受賞者への質疑応答を行いました。

キャシー・マッキノン氏

国際自然保護連合(IUCN)世界保護地域委員会(WCPA)議長(イギリス)

講演テーマ:「保護地域:生物多様性の保全と人間福祉の基盤」

国際自然保護連合世界保護地域委員会は、保護地域に関する専門知識の世界的なネットワークです。特に、愛知ターゲットの目標11を達成すべく、日々活動を続けています。愛知ターゲットの目標11では、2020年までに、生物多様性と生態系サービスにとって重要な地域を中心に、陸域および内陸水域の少なくとも17%、沿岸域および海域の少なくとも10%を、効果的な保護区制度などにより保全することを掲げています。これらは2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標とも深く関連してきます。

国連環境計画では、今世紀末までに3度の気温上昇が見込まれる報告をしているように、気候変動対応や地球環境問題解決は急務とされている中、具体的に変革をもたらしている事例も、数多くあります。例えば、二酸化炭素貯留の10%を担っているアマゾン地域の保全活動団体の動き、コロンビアやパラオでの保護区の制定、あるいは南アフリカの「ワーキング・フォー・ウォーター・プログラム」などです。

保全活動をしていく中で、今我々に必要なことは「クリエイティブになる」ことです。生物多様性の保全と人間の福祉のために、私たちが一緒に成し遂げられることを想像してみてください。皆さんの一つ一つのアイデアを組み合わせると、自然とのつながりがもたらす多様な恩恵を、公平かつ包括的に体験できる世界の可能性が見えてきます。それは、普段の生活、労働、学び、余暇の活動の中で見つけられることです。そして、その自然を守る行動によって、自然、つまり地球へ、恩返しができるのです。一緒に行動し、世界を変える仲間になりましょう。

アサド・セルハル氏

レバノン自然保護協会(SPNL)事務局長(レバノン)

講演テーマ:「HIMA:ある一つの生活様式~平和へのミッション~」

レバノンは小さな国でありますが、典型的な地中海性の温暖な気候であり、渡り鳥の飛来数が世界2位という、重要なフライウェイ(渡りルート)に位置し、貴重な生物多様性を有する地域です。一方、その乱獲、密猟も絶えません。レバノン自然保護協会の目的は、レバノンの自然、鳥、生物多様性を人々のために保護し、HIMAを通して、自然資源の持続可能な利用を実現することです。

HIMAは、日本における里山のような、伝統的な地域主体の保全システムです。中東において1500年前に始まったシステムでしたが、ここ100年間、地政学的な問題があり、忘れられていました。私たちレバノンが先頭に立って、2004年に最初のHIMAの復活を果たし、これまでに22のHIMAを設立するに至りました。

重要なことは、HIMAのエンパワーメントを促進すること、ボトムアップ手法を尊重すること、そこに経済的なインセンティブを持たせることです。それには、HIMAの自然で作られた農作物資源を使った商品のブランド化など、民間セクターとの協業も必要となります。また人々、特に高齢化が進む中では若者に、地域のことを学んでもらい、地域の自然と共生した職業に就き、その土地に対する誇り、地元を守る意識を持ってもらうことが大切です。そのためには、地元での雇用を創出することがカギとなります。

まずは、皆で共通の未来の展望を持ち、その内容の分析が必要です。その結果、共通の目的が定まり、その展望を、政策、立法、実践に反映することで、展望の実現に向かうことが可能となります。

アブドゥル・ハミド・ザクリ氏

レバノン自然保護協会(SPNL)事務局長(レバノン)

テーマ:「生物多様性損失における政策―なぜ人は、違いを生み出すか」

本日お話しすることは、私の個人の物語でもあり、また同時に皆様それぞれの物語でもあります。地球上の生命全てに迫りつつある、地球規模の惨事に対して、私たちが「どう考え、行動するか」によって、どう状況を変えて行くことができるのか、という物語であります。私たち一人一人すべてが、当事者であります。

生物多様性の損失と生態系サービスの低下の問題は、最近始まったことではありません。1962年のレイチェル・カーソンの「沈黙の春」に見るように、以前より認識されており、国連人間環境会議、生物多様性条約等で、協議されてきています。一方で生物多様性保全2010年目標が達成されなかったように、世界はこの問題を解決できず、事態は深刻化しています。マレーシアでは、経済活動のために、熱帯雨林が急速に姿を消していっています。

その大きな要因は、人々の認識の欠如です。それを改善するには、我々は説得力を持ち、合理的で、分かりやすくなければなりません。また、「富や雇用創出」、「人間の幸福」は、「生物多様性」があって初めて成り立つことを示す必要があります。説得力のある「なぜ」が、人々を具体的な行動へ動かすカギとなります。ここで、生物多様性損失の深刻な影響について、他のステークホルダーの人々を納得させる科学者の助言には、3つの資質が問われます。信頼性、関連性、正当性です。ここに未来を変える人々の行動の違いが生まれます。

「もし、今日、人間が地球から一掃されても、明日も変わらず、鳥たちや木々は、そこにいるだろう。しかし、もし、今日鳥たちや木々が絶滅したら、明日人間は消えてしまうだろう」

最後にモデレーターの末吉竹二郎氏からのコメントで講演会が締めくくられました。

2015年のSDGsとパリ協定の成立によって、国家以外の主体に役割がシフトしつつあると感じています。

政策の在り方は重要でありますが、それを実行する民間セクター、市民社会等、私たち全員の役割が増してきています。ザクリ博士は、講演の中で、ネイティブアメリカンの言葉を紹介されていましたが、私からも一つ、ネイティブアメリカンの言葉をご紹介して、締めくくりたいと思います。

「最後の木が死に、最後の川が毒され、最後の魚を獲り終えた時に、人はようやく、お金は食べられないということに気づくのだ」

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The MIDORI Prize for Biodiversity 2016 受賞者フォーラム開催 /ef/midoripress2020/ja/topics/midorinews/5661/ Thu, 26 Jan 2017 11:57:00 +0000 /ef/midoripress2020/?p=5661

公益財団法人イオン環境財団は、生物多様性条約事務局との共催により、12月7日、東京の国際連合大学ウ・タント国際会議場において、「The MIDORI Prize for Biodiversity 2016 受賞者フォーラム」を開催しました。

フォーラムでは、The MIDORI Prize 2016の受賞者3名による講演と、末吉竹二郎氏(イオン環境財団評議員、国連環境計画・金融イニシアチブ特別顧問)をモデレーターとする受賞者とのパネルディスカッション「脱炭素経済と生物多様性~パリ協定とSDGs(持続可能な開発目標)の狭間で考える~」が行われました。

受賞者講演 要旨

アルフォンソ・アギーレ=ムーニョス氏

島嶼(とうしょ)生態系保全グループ 事務局長 (メキシコ)

講演テーマ:「自然の回復:私たちの家である自然を慈しんで」

自然-それは私たちの共通の「家」ではないでしょうか。しかし私たちは、その「家」を破壊してきました。次代に引き継ぐべきこの「家」を回復することは私たちの急務です。

ではどのようにしてこの「家」を回復していくべきなのでしょうか。また、こうした回復活動を行うために、私たちが持つべき哲学とは?

ドストエフスキーは「カラマーゾフの兄弟」の中で、慈しみの心を持って自然へ赦しを請うこと、自己分析的な立場から課題を否定せず認めることが重要であると述べています。こうした良心ある態度こそ、他者や自然をいたわる自主的な活動を生み出すものであり、メガ・ダイバーシティの国メキシコにおいても大きな意味を持つものと私は考えています。

また、メキシコの作家オクタビオ・パスは、他者の違いを認めることが文化、対話、愛の表現であると述べており、私はこの態度が自然にも適用されるべきだと考えています。謙虚さと客観性を持って問題に取り組むことが、私たちの「家」を守ることになり、市民社会から社会を変えていくボトムアップ・アプローチにもつながっていくのではないでしょうか。

ユーリ・ダーマン氏

世界自然保護基金ロシア アムール支所 所長(ロシア)

講演テーマ:「エコリージョン・アプローチによる生物多様性の保全:アムール地域のケーススタディ」

アムール地域にはWWFが特定した5つのエコリージョンがあります。2 百万 km²という広大な面積を誇るアムール・エコリージョンの生態系は非常に多様で、象徴的な種としては、アムールトラ、モンゴルガゼル、タンチョウヅル、コウノトリ、チョウザメ等をあげることができます。こうした生物は人間の定めた国境を越えて生きているので、その保全のためには人間も国境を越えて協力していく必要があります。

WWFでは、具体的な方策として、リスク分析、社会経済的分析等、異なる視点で問題点を検証し分析結果を重ね合わせることで問題解決のプライオリティを特定しています。また、定点観測、保護区の創出、密猟の禁止・防止、国際拠点の開設、生息地のネットワーク化、国境に設置されたフェンスの開放により生物の移動を可能にするなど、様々な側面から国際的な保護活動を行ってきました。また、私が取り組んできたダム建設反対運動は気候変動とも関連が深く、ダムを建設せず環境適応するシステムを構築することで、生物多様性を守り二酸化炭素の排出を削減してきました。

こうした地道な活動に加え重要なのは政府の協力です。特に大統領府のサポートが非常に重要な役割を果たしています。最高位レベルの政府戦略に保全活動が組み込まれることの意義は大変大きいのです。

ヴァンダナ・シヴァ氏

ナウダーニャ 創設者・代表 (インド)

テーマ:「ナウダーニャの生物多様性の旅-アース・デモクラシー(大地の民主主義)を目指して」

私の生物多様性の旅は、ヒマラヤの森林を守るために木に抱きつくという非暴力的な活動、チプコ運動に参加することから始まりました。私は自身の専門分野であった量子論で、全てはつながっていて、自然と人間にも、敵と味方にも境界はないという生命の原則を学んでいましたから、そこに環境活動との共通点を見出せたのだと思います。生物は全て共存していて、地球は全ての生物の生息地なのだという視点は、農業にも通じています。

しかし近代農法においては、種子が発明され特許化されました。ですが、種子とは常に進化し続けている生命であり、人間の発明品ではありません。こうした近代農法により、人々は特許化された種子の購入のために借金を強いられ、遺伝子組み替えで種子の強靭性は失われました。農薬の乱用で破壊された土壌内の食物連鎖は海洋にも気候にも影響を及ぼしています。私は食の多様性と農家の権利を守るため、有機農法を推進するナウダーニャ運動を始めました。私たちが実践している有機農法とは、自然と共に生き、他者を尊重する「大地の民主主義」に基づいています。そして農業の生物多様性を守ることは、調和への道にも通じています。これこそ、私たちの地球の旅なのです。

パネルディスカッション

『脱炭素経済と生物多様性~パリ協定とSDGs(持続可能な開発目標)の狭間で考える~』要旨

モデレーター:末吉竹二郎氏

(イオン環境財団評議員、国連環境計画・金融イニシアチブ特別顧問)

2015年9月「国連 持続可能な開発サミット」で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」と、同年12月にCOP21で採択されたパリ協定。これらは共に、これからの国の在り方、ビジネス、個人のライフスタイル、社会そのものの在り方を大きく変えていくことになるものだと言われています。生物多様性と気候変動という密接に関わりあう二つの問題にどう取り組むべきなのかについて、討議が行われました。

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