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2015/04/17
第4回生物多様性 日本アワードへの期待
-香坂 玲-

Japan Awards for Biodiversity 2015 logo

「生物多様性」という言葉を、皆さんはどのように感じるでしょうか。
生物多様性という言葉はなかなか認知されていない、むしろ認知度が下がっているという報道もあるといわれています。しかし、名古屋で開催されたCOP10以降、生物多様性に関する活動は徐々に広がりをみせています。
 例えば、今まではどちらかというと小規模なグループでの活動だったものが、社会の中で認められ、メインストリーム化しつつあります。また、近年、問題が顕在化している獣害等は、これまでは負の側面だけを捉えられがちでしたが、野生鳥獣の肉を高付加価値なジビエ料理の資源として捉え、環境教育の材料とするなど、地域づくりの正の側面から展開している事例が出てきています。東日本大震災からの復興活動においても、生物多様性に対する配慮が、震災に対する緩和適応策や経済的効果にもいい影響を与えています。同時に震災では、命、家族や地域とのつながりについて、社会全体が考える契機となりました。もしかしたら、生物多様性とは違う言葉を使ったり、言葉そのものを謳っていなくとも、地域地域の個性を活かした活動は確実に広がりつつあります。

 

この他にも、これまでとは違った切り口の日本独自の技術や研究開発など、中小の団体や企業、あるいは研究機関が取り組むものの中には既に萌芽が出ているものもあります。メディア等は、生物多様性の大切さをアピールする映像や書籍等、啓発面で貢献しています。さらには、学校等、教育機関と連携するなど、様々なセクターが連携しているもの等、プロジェクトの内容も多様化しています。

 

あらためて、「生物多様性」とは何なのでしょうか。「生物多様性条約」では、「生物多様性の保全」「生物多様性の構成要素の持続可能な利用」「遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分」を目的としています。

 

言い換えれば、私達は生物多様性なしには生きていけないということではないでしょうか。ですから私達が生物多様性を守らなければならないことは言うまでもありません。しかし、それだけにとどまることではないのです。私達は生きていくために生物多様性を利用していますが、そのための利用は「持続可能」なものでなくてはならないのです。環境に配慮した農業や漁業、林業等は、典型的な「生物の持続可能な利用」ではないでしょうか?そして、生物多様性を具体的に守るためには、例えば経済的な側面についても考えるなど、動植物を守ることにとどまらない、広い視野が必要なのです。

 

生物多様性の保全と持続可能な利用のさらなる促進に向け、本アワードではこうした広い視野に立った多様なプロジェクトのご応募をお待ちしています。

 

香坂 玲
(金沢大学 地域創造学類 准教授、
    第4回生物多様性日本アワード 審査委員、専門ワーキンググループ座長)

 

 

ご応募はこちらから

・受賞プロジェクトについては、新聞(全国紙)および当ウェブサイトで活動を紹介させていただきます。

 

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