栄えある生物多様性みどり賞の 2018 年における、三人の受賞者のうちの一人に選出いただき大変光栄に存じます。みどり賞は地域およびグローバルレベルで生物多様性の保全と持続可能な利用に関し顕著な貢献をした人たち、また生物多様性の様々な取り組みに影響を与え、それを強化した人たち、さらに生物多様性への人々の関心を喚起した人たちを表彰するものです。
生物多様性に携わることは生涯に渡り私にとって最大の関心事でした。生物種が豊富な世界 17 の国の一つであるマレーシアに生まれ、自然の恩恵により生物多様性の価値を大切にする心は自ずと生まれました。
朝の鳥のさえずり、風に吹かれて揺れる葉の音、また、新鮮な空気、それらはすべて私が幼いころから慣れ親しんできたものでしたが、東南アジアという、地球上で最も偉大な生物学の実験室の一つに住んでいるということに私が気付いたのは、かなり時間が経ってからのことです。そこは伝説的なイギリスの博物学者アルフレッド・ラッセル・ウォレスが 1858 年のチャールズ・ダーウィンの自然淘汰による進化論を思い描いたところでもありました。
1990 年から 1992 年にかけて、生物多様性条約(CBD)の交渉におけるマレーシア代表団の一員として国際的な場に参画しており、また、CBD の 3 つの目標、つまり「生物多様性の保全」、「生物多様性の構成要素とアクセスの持続可能な利用」、そして「遺伝資源の利益共有」に心から賛同しています。
持続可能な発展と人類文明の未来は、生物多様性、つまり「生命の網」に大きく依存していると私は確信しています。