生物多様性みどり賞(国際賞) 「国際生物多様性年」であった2010年、イオン環境財団が
20周年を迎えたことを記念して「The Midori Prize for Biodiversity」
(生物多様性みどり賞)を創設しました。
「国際生物多様性年」であった2010年、イオン環境財団が20周年を迎えたことを記念して「The Midori Prize for Biodiversity」(生物多様性みどり賞)を創設しました。

第6回生物多様性みどり賞(The MIDORI Prize for Biodiversity 2020)受賞者

※受賞者のプロフィールは受賞当時のものとなります。

メリーナ・サキヤマ (ブラジル)

生物多様性グローバルユースネットワーク(GYBN)共同創設者

受賞のことば

「生命のつながり」の美しさや複雑に入り組んだバランスに魅了され、私は研究と情熱の対象として「生物多様性」を追求してきました。その過程で、我々自身がその存在を脅かしていることを知りました。自らの生命維持システムを人間自身が脅かしていることは、幼少期の私には理解できませんでした。「なぜ?」というこの疑問を抱き続け、生物学者として答えを探し、厳しい現実を理解し変えていく道を歩んできました。イオン環境財団、生物多様性みどり賞審査委員会、生物多様性条約事務局、そして生物多様性グローバルユースネットワークの活動を信じこれまで支えてくださった皆様に、心より感謝申し上げます。

このみどり賞の受賞が、多くの若者、特に発展途上国の少女たちに、夢や希望を持って、生物多様性の活動に参加する力を与えると確信しています。また、生物多様性保全に関わる私たちの様々な行動は、若者のリーダーシップ、情熱、それに対する成功について、他の機関や組織にも知ってもらえるようになるでしょう。私たちの活動は10年前に志を同じくする若い友人グループから始まり、一緒に共有してきた希望の種は、活気に満ち溢れた生物多様性ムーブメントとなり、花を咲かせることができました。

この栄誉を、生物多様性グローバルユースネットワークの共同創設者クリスチャンシュヴァルツァー氏と共有したいと思います。彼は、遥かな夢を実現させるパワーを持った立役者です。今では私たちは、生物多様性条約の若い支持者であるだけでなく、世界的なムーブメントを起こすことができました。この考えを共有し、平和に平等に自然と共生する未来への「公正な移行」を私たちがリードしていきます。皆さんも是非この旅に参加してください!

受賞者の功績

メリーナ・サキヤマ氏は生物学のバックグラウンドを持ち、地球と生物の絶妙なバランスに興味を持ってきた。地球上のバランスを維持しなければならない問題について注力し、多くの人々と関わってきた。

サンパウロ大学では、生物学の学位を取得し、環境問題における生物学者の役割を研究、その後京都大学で、環境管理の修士号を取得した。京都大学では、生物多様性教育、生物多様性の評価、若年層の関わりについて焦点を当てた。

2010年の生物多様性条約第10回締約国会議への参加と、それに先立つ国際ユース会議などを契機とし、その後の10年間、生物多様性問題に取り組む若者のためのグローバルなムーブメントの構築に尽力。 2014年より生物多様性グローバルユースネットワークの「Youth Voices(青少年の能力開発プログラム)」を構築。「Youth Voices」は若者のエンパワーメントの促進とその指導力を養成し、彼らがCBDの実行をサポートできるようにするものである。立ち上げ以来、120か国340名以上の若者を育て、55件以上の青年主導の環境保護イニシアチブを支援した。これらの若者主導のイニシアチブは、CBDへの若者の参加を促し、「生物多様性国家戦略・行動計画( National Biodiversity Strategies and Action Plans)」の実行において、彼らに具体的な役割を与えた。また、世界全地域で9つの青少年能力開発ワークショップを開催し、生物多様性問題について学び、生物多様性条約会議に参加する若者に対し奨学金制度を設け、200名に授与を行った。その他、生物多様性条約下で交渉にあたる若者の発言を支援、交渉に直接貢献した100名以上の若者の公式発言をサポートした。

また、サキヤマ氏はさまざまな出版物や資料作成を主導し、若者の活動、生物多様性において行動を起こす力を促進した。その中の1つGYBNによる生物多様性条約プロセスのガイドブックである「CBD in a Nutshell 」を共同で執筆した。それは、CBDなど国際機関における市民社会や政府代表にとって貴重な情報源となった。 「CBD in a Nutshell」は1万4千回以上ダウンロードされ、これまでに日本語、スペイン語、ドイツ語、中国語に翻訳されている。こうして、国際戦略に関する情報提供によっても、生物多様性活動への若者の参加を促進してきた。特に、生物多様性の保全と管理・運営の分野で、若い世代の能力開発と若者の地位向上に積極的に関与し結果を出している。 「CBD in a Nutshell」等ガイドブックや資料提供を行うことで、プロセスに参加するためのアクセシビリティを改善、若者が生物多様性において優れた人材となることを支援した。こうしたサキヤマ氏の活動が生物多様性を保全する150カ国40支部100万人以上の若者による活気溢れる世界的なムーブメントに発展した。

サキヤマ氏と生物多様性グローバルユースネットワークの活動を称えることは、更なる若者による生物多様性への取り組みと行動を促す意味で重要である。また、若者がリーダーシップを発揮するための適切な機会と支援を受けることによりに彼らが何を世界にもたらすことができるかを世界に示すことは非常に意義がある。