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歴代受賞団体 2009年

第1回 生物多様性日本アワード(2009年)

※第1回(2009年)は、グランプリとあわせ8組の優秀賞が選出されました。

グランプリ

利用フィールド部門:地域企業との協働による谷津田の保全

アサザ基金は、谷津田で生産された酒米を、地域の酒造会社の協力により日本酒を醸造するというユニークな取組により、耕作放棄された谷津田の再生に取り組んでいる。日本酒販売の収益の一部は谷津田の再生のために活用されている。また、企業とのネットワーク構築にも取り組んでおり、地域の多様な主体の協力も得ながら、企業や社員ボランティアとの協働により、再生された谷津田での環境保全型農業を実践している。

活動報告ひとつの花から始まった湖の再生と持続可能な社会への物語

優秀賞
  • 保全フィールド部門:知床の生物多様性に関する取組

  • 知床財団は、世界自然遺産に登録された知床半島のヒグマ、エゾシカ、海棲哺乳類、オジロワシなどの野生生物の生息状況に関するモニタリングや生態調査、遺伝的多様性に関する調査に長期にわたり取り組むとともに、わが国のナショナルトラスト運動の先駆けの一つである「しれとこ100平方メートル運動」等を通じて、地域の自然生態系と生物多様性の保全に貢献してきた。

    また、地域住民や来訪者に対して、知床の自然と生物多様性の貴重性を伝える活動を積極的に行っている。

  • 保全リサーチ部門:「農」に着目した地域における生物多様性の保全のための活動

  • ※NPO法人農と自然の研究所は2010年4月に解散し、任意団体農と自然の研究所が出版物の販売などを引き継ぎました。

    農と自然の研究所は、水田の動植物5470種類を網羅する目録を作成するとともに、水田の生物多様性を評価するため、動物植物それぞれ230種類を指標化する取組や、無農薬栽培における水田と畦の生物種の調査分析を実施し、それらを活用した農業技術を開発し、その評価手法を提案している。これらの研究成果は37点の出版物にまとめられ、農家、自然保護団体等に普及している。

    代表である宇根氏は、1979年に「虫見板」を用いた簡便で効率的な調査手法を開発し、独自の視点から「田んぼの生きもの調査」を開始した。

  • 利用リサーチ部門: エコロジカルネットワークの研究と実践

  • 鹿島建設は、(独)都市再生機構、(財)都市緑化技術開発機構と協働し、コゲラを指標種とする地域のエコロジカルネットワーク評価技術を開発した。また、「鹿島ニホンミツバチプロジェクト」として、在来種であるニホンミツバチを指標種とする調査研究にも取り組んでいる。

    また、このような技術を実際の病院、業務ビルなどの実際の建設プロジェクトに適用することにより、生物多様性の保全と経済合理性とを両立する土地利用等に取り組むとともに、事業に関するコミュニケーションにも積極的に取り組んでいる。

  • 保全プロダクト部門:「コウノトリ育む農法」とコウノトリ共生米

  • 地域の多様な実施主体が連携しながら、野生に帰されたコウノトリのエサ場となる生物多様性が保全された水田を確保するため、減農薬・無農薬で、安全・安心なお米と生物を同時に育む「コウノトリ育む農法」や、農家による水田の生きもの調査に取り組んでいる。「コウノトリ育むお米」の売上代金の一部は豊岡市コウノトリ基金に寄付され、コウノトリのエサ場づくりなど生息環境の整備に利用されている。

  • 利用プロダクト部門:生物多様性保全を含む10の調達指針

  • 積水ハウス株式会社は、2007年4月に10の調達指針からなる「木材調達ガイドライン」を制定した。このガイドラインに基づき、木材やサプライヤーやNGOと協働し、持続可能な木材調達レベルの向上のための取組として、調達指針ごとの合計評価点により木材を4つの調達ランクに分類した上で、サプライヤーに対し評価が低い木材を減らし、高い木材の割合を増やすように働きかけている。透明性の高い客観的な基準に基づいているため、供給者側が主体的に調達方法等の見直しに取り組むことができるという利点がある。

  • 保全コミュニケーション部門:「生物多様性について考えてみませんか」定期の取り扱い

  • 中日信用金庫は、地元・愛知県名古屋市で開催される「COP10」への関心を高め、「生物多様性」の重要性への理解を深める契機とするため、「生物多様性について考えてみませんか」定期を発売した。生物多様性の重要性について、地域住民と共に考えていくことを目指し、営業店21店舗の職員と約80名の営業担当者が、約2万人以上の顧客一人ひとりに面談することで、顧客と職員が共に「生物多様性保全」の重要性や「COP10」開催について理解と関心を深める活動を展開した。

  • 利用コミュニケーション部門:「ボルネオはあなたが守る!」キャンペーン

  • サラヤ株式会社は、マレーシア政府認可の「ボルネオ保全トラスト」をヤシノミ洗剤の売上の1%を提供することにより支援し、熱帯雨林回復のための土地購入や、生息地を追われたボルネオゾウなどの動物救助活動に取り組んでいる。また、資金援助のみならず、消費者を対象にしたボルネオ視察エコツアーを実施し、環境保全意識を高めるための普及啓発活動にも取り組んでいる。

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