イオンの健康経営従業員のために ウエルネス経営の推進
1. 健康経営の目的
イオンは、「人間尊重」の経営を志向し、「従業員の志を聴き、従業員の心を知り、従業員を活かす」ことを人事の基本理念として、イオンピープル一人ひとりの会社・家庭・地域生活を共に充実することを人事の行動理念としています。
そのすべての土台となるのが「従業員とその家族の健康」です。従業員一人ひとりが心身ともに健康で、長く働き続けたいと感じ、働く意欲に満ちた存在であること、そして健康な従業員が幸せな地域生活を送り、お客さまの健康と幸せの実現に貢献することが、イオンの健康経営で実現したい姿です。イオンは2016年度に「イオン健康経営宣言」を行い、グループ一体となって従業員の労働安全衛生と健康経営に取り組んでいます。
イオンは、従業員と家族の健康をサポートします。
そして、従業員とともに地域社会の健康とハピネスを実現します。
執行役副社長
人事・管理担当 兼 リスクマネジメント管掌
イオン健康推進責任者 渡邉 廣之
2. 健康経営の推進方針
経営課題の解決につながる健康課題から健康保持・増進施策までのつながりを意識して健康経営を推進し、重点指標の目標値を設定して取り組んでいます。
イオンは従業員とお客さまの健康と幸せを実現し地域社会へ貢献するために、人材こそが最大の経営資源であるとの信念に基づき、多様な人材が健康で能力を発揮し活躍し続けられる企業集団となることを目指しています。従業員一人ひとりが心身ともに健康で、長く働き続けたいと感じ、働く意欲に満ちた存在であること、そして健康な従業員が幸せな地域生活を送り、お客さまの健康と幸せの実現に貢献することが、イオンの健康経営で実現したい姿です。
そのため健康経営の最終目標を「労働生産性の向上」「人材定着 望まない離職の低減」「従業員満足度及びワークエンゲイジメントの向上」とし、その達成度を測る指標として「プレゼンティーズム損失割合の低減」「アブセンティーズムの低減」「若年次離職率」「ワークエンゲイジメント」「従業員満足度」について定期的に測定し、グループ内比較や取組みによる効果等について確認しています。イオン・イオンリテールの2021年実績と2022年目標値は、以下の通りです。
- プレゼンティーズム(高ストレス者と非高ストレス者の生産性損失割合の差) 2021年実績10.1 2022年目標9.1
- アブセンティーズム(傷病手当金支給延べ日数の割合) 2021年実績0.70 2022年目標0.53
- 入社3年以内の離職率 2021年実績24.1 2022年目標20.0
- ワークエンゲイジメント(独自の従業員サーベイに基づく) 2021年実績3.64 2022年目標4.0
- 従業員満足度(独自の従業員サーベイに基づく) 2021年実績3.46 2022年目標4.0
また、従業員の健康診断データ等の分析から、グループ従業員の健康課題は、高年齢およびその進展に伴う①高血圧②糖尿病③喫煙率が高いことと考え、「定期健診受診率」「精密検査等受診率(血圧、血糖)」「喫煙率低減」を共通指標としています。
各指標の実績値・目標値は下表に記載しています。
3. 推進体制
健康経営を推進するために、イオン株式会社人事・管理担当執行役副社長を推進責任者とするイオン健康推進室を設置しています。メンバーは総括産業医、保健師、人事企画部、グループ会社人事部門、イオン健康保険組合、イオングッドライフクラブ、労働組合の各責任者等で構成され、経営戦略の観点から従業員の健康維持・増進のための施策を検討・実行しています。
また、グループ各社に健康推進責任者と担当者を置き、それぞれ主体的な健康経営の推進に取り組んでいます。
経営トップと労働組合が社内課題について協議するグループ労使協議会においても健康課題を取り上げ、健康経営の取組方針やKPI設定・効果確認等を実施しています。
イオンの健康経営推進体制

4. グループ一体の取組み推進
2017年度よりグループ主要会社を交えた「イオン健康経営推進会議」を定期開催、2019年度よりグループ全社の健康推進責任者・担当者を対象とした「イオン健康経営全体会議」を定期開催、現在は各社産業保健スタッフや労働組合も参加しています。「推進会議」では、グループ方針の策定や検証を行い、「全体会議」では、イオングループ一体となって健康経営を推進するため、健康増進・管理施策の水平展開を図るとともに、経済産業省や先進企業による講演・研修やグループ各社の学び合いを実施するなど、PDCAサイクルの充実を図っています。
第1回全体会議
最近のオンライン会議の様子
5. 主な取組み
重点取組み
- 受動喫煙対策・卒煙支援
- ヘルスリテラシー向上
- 受診率向上
- 感染症対策
- 健康状態見える化
2022年度共通目標
- 定期健診受診率100%
- 健診後の精密検査等受診勧奨・受診率100%(血圧、血糖)
- 喫煙者数前年比25%減
- 特定保険指導参加率100%
- 長時間労働の撲滅
- 健康経営優良法人ホワイト500・ブライト500の認定取得拡大
1. 受動喫煙対策・卒煙支援
喫煙は生活習慣病やがんの発症に大きく影響を及ぼすため、喫煙率の改善は重要な課題ととらえています。2015年から禁煙促進に取組み、2019年より本社敷地内全面禁煙を実施、更なる健康意識の向上と卒煙に向けた環境の整備として、2021年イオン・イオンリテールをはじめとしたグループ国内115社において従業員の就業時間内禁煙・敷地内禁煙に取り組んでいます。卒煙啓発・支援として、従業員向けオンライン禁煙プログラムを無料で提供し、それぞれの状況に合わせて「卒煙」に挑戦できるコンテンツをウェブサイトで発信しています。喫煙率は改善傾向にありますが、喫煙者数前年比25%削減を目指し、安全衛生委員会等で卒煙支援施策(衛生管理者・担当者・管理職・喫煙者対象「卒煙セミナー」実施、セミナー後アンケートによる卒煙意向把握と各種プログラム推奨)を審議し、意見を踏まえて実施し、本人とご家族、職場の健康推進のために共に寄り添うよう進めています。
2. ヘルスリテラシー向上
従業員の健康意識を高める全社的な取り組みとして、毎年2ケ月間、全従業員参加型の「健康チャレンジ 元気UPキャンペーン」(健康に関するプログラムの中から、各自がコースを選択しチャレンジする制度)を行っています。キャンペーン参加者は、2018年度 26,536人、2021年度35,086人と大幅に増加、うちイオン・イオンリテールは16,615人が参加し健康改善に取り組んでいます。
また、2018年より健康改善への主体的な取組み支援を目的として健康ポータルサイト PepUp を立ち上げ、2022年8月時点で9.7万人が登録し、健康改善行動に取り組んでいます。PepUp では健診結果を各自確認することができ、健康改善が認められた場合には健康ポイントが付与され、WAON ポイントに交換できる仕組みになっています。更に、2019年よりPepUpを活用している従業員のうち希望者にウエアラブル端末を無償貸与し、2022年4月時点でグループ5万人、イオン・イオンリテールでは20,051人が活用しています。ウエアラブル端末使用者における2020年度健診結果から、使用者は未使用者に比べて肥満率の増加が抑えられていることがわかっています。
2022年は新たにイオングループのための女性の健康セミナー、ウェアラブル端末を活用した生活習慣改善セミナー、スタジアムヨガ&健康セミナーなど実施、更なる効果拡大に取り組んでいます。
3. 健康管理・受診率向上の取組み
従業員の健康管理について、イオン健康推進室が重点管理対象者の選定基準を設定するなど、目標数値を達成するための健康管理活動の水平展開を図っているほか、イオン健康保険組合では、その活動を支援するために各社従業員の健康課題がわかる健康度レポートを発行しています。
レポート分析等から、グループ従業員の健康課題は、高年齢およびその進展に伴う①高血圧②糖尿病③喫煙率が高いことと考え、独自の重点管理対象者を選定するとともに、受診勧奨を推進しています。例えばイオン㈱では、未受診者への受診勧奨や重症高血圧者への産業保健職による介入を実施し、2021年度定期健康診断および精密検査等受診率は100%となっています。また、特定保健指導実施率向上に取り組んでいます。
糖尿病の疾病リスクとメタボ該当率は改善傾向にあります。特定保健指導実施の有無による改善効果が、血圧と血糖に見られています。
2022年は特定保健指導実施率向上のため職制を通じた受診勧奨や環境整備、また、中等度以上高血圧者への保健指導などを強化しています。
4. 新型コロナウイルス感染症対策
新型コロナウイルスの感染防止対策として、日々のくらし・新しい日常を地域の皆さまと一緒に守るため、「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」を策定し、科学的根拠に基づいた防疫対策をグループ企業が連携して従業員一丸となって実施しています。
お客さまの安全・安心はもちろんのこと、パートナーである専門店企業の皆さまとともに、従業員が安心して働きお客さまへの対応ができるよう、入館時の検温実施、体調管理アプリ等を活用した従業員体調管理をはじめとしたグループ全従業員の体調管理を徹底し、安心してご来店いただける店舗づくりに取り組んでいます。
コロナ下の2020年度はインフルエンザ予防接種の全額補助を行いグループ11万人の従業員が接種、2021年度は新型コロナワクチン職域接種を実施、テナント専門店を含む従業員の接種拡大に取り組んでいます。
5. 地域の皆さまとともに
イオンでは、全国の商業施設を献血会場や健診会場、ワクチン集団接種会場として積極的に提供しています。健康や食育を重視したプライベートブランド商品を開発し、提供しています。また、イオンモールでは「地域のお客さまの健康拠点」となることをめざし、全天候型のショッピングセンターの特徴を生かした「イオンモールウォーキング」を2017年から展開。ウォーキングコースを設置するとともに、イオンモールアプリにウォーキング機能を搭載し、ウォーキングコースやアプリを活用した全国キャンペーン等を実施することで、お客さまのウォーキングの実践・継続をサポートしています。店舗ごとに健康相談や検診普及など健康関連イベントも実施しています。
イオングループでは、経済産業省と日本健康会議が共同で行っている認定制度「健康経営優良法人」の取得支援に取り組み、21社が「健康経営優良法人2022」の認定企業となりました。
イオンの健康経営(全体像)
あゆみ
年度 | 年月 | 内容 |
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2016年度 | 2017年1月 | 「イオン健康経営宣言」発表 |
2017年2月 | 健康経営優良法人2017(ホワイト500)初年度取得(イオン・イオンリテール) | |
2017年度 | 2017年度 | イオン健康推進会議の定期開催開始(以降、毎年開催) |
2017年7月 | グループ各社に「健康推進責任者」「健康推進担当者」を選任 | |
2018年2月 | 健康経営優良法人2018(ホワイト500)取得(3社) | |
2018年度 | 2018年4月 | 巡回健診項目の胃がん検診としてABC検診を開始 |
2018年度 | 健康ポータルサイト「Pep Up」開始 | |
2019年2月 | DBJ 健康経営格付融資 グループ4社が取得 健康経営優良法人2019(ホワイト500)取得拡大(10社) |
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2019年度 | 2019年5月 | 第1回イオン健康経営推進全体会議 開催(以降年2回開催) |
2019年7月 | 第2回イオン健康経営全体会議 開催 | |
2020年1月 | 新型コロナウイルス感染症グループ対策本部 立上げ | |
2020年2月 | 健康経営優良法人2020(ホワイト500)取得(14社) | |
2020年度 | 2020年6月 | イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル 発行(以降改定) |
2020年度 | 新型コロナ対策を踏まえた全社取組み:インフルエンザ予防接種全額補助 | |
2021年1月 | グループ国内115社の従業員の就業時間内禁煙・敷地内禁煙 方針発表 | |
2021年3月 | 全国のイオンの施設を新型コロナウイルスワクチン接種会場として提供 健康経営優良法人2021(ホワイト500)取得(16社へ拡大) |
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2021年度 | 2021年6月 | 新型コロナウイルスワクチン職域接種 全国推進 |
2022年3月 | 健康経営優良法人2022取得(21社 うちホワイト500 1社) |