環境担当からのメッセージ

有事においても、基本理念に基づく
使命のもとで行動し、お客さまや社会から真に必要とされる企業集団を目指します。

執行役
環境・社会貢献・PR・IR担当 三宅 香

基本理念に基づく変わらぬ小売業の使命

 当社は、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、お客さまや従業員の安全を最優先するという大前提のもと、商品の手配やサービスの拡充など、お客さまの日々のくらしを支えることを使命として取り組んでいます。
 近年は、このコロナ禍以外にも、台風や異常気象による洪水被害などの問題も多く、普通に生活ができることのありがたみを改めて感じます。イオンは基本理念に、「平和・人間・地域」というキーワードを掲げています。この「平和」というのは、岡田名誉会長が戦後の焼け野原の中、「焦土に開く」と書いたチラシを配布してお店を開いたときに「ありがたいね、平和が戻ってきたということだね」というお客さまの一言が支えになり、「平和でなければ小売業は繁盛しない」と実感したことが原点にあります。
 新型コロナウイルス感染症は、災害のような局地的なものではなく、全ての人々に影響を及ぼし、今もなお終わりが見えない状況下にあります。しかし、どのような有事の際もお客さまを第一に、平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献するという基本理念こそがイオンの原点であり、お客さまの日々のくらしに寄り添っていくことが存在意義と認識し、日々の活動に取り組んでいます。

時代に即した変化への対応

 今回のコロナ禍において当社の事業も大きな影響を受けていますが、それによってイオンの事業やビジネスが変化するということではなく、基本理念のもと社会の変化に適応すべく、イオンの総合力を活かしてさらなる変革を進めていくことが重要だと考えています。
 イオンは、1989年の「イオングループ」発足から30数年を経て、現在、14カ国で8つの事業を展開するまでに成長しました。これは、お客さまのニーズの変化や社会の変化に合わせて、絶えず革新していくというDNAがイオンに根付いているからです。1990年代にはデフレ経済や少子高齢化に対応し、郊外の大型ショッピングセンターやドラッグストア事業の展開を推進し、2000年代には生活スタイルの多様化に対応し、電子マネー「WAON」やイオン銀行を設立しました。
 さらに2010年代からは、シニア人口や働く女性の増加といった消費環境の多様化に対応するとともに、成長するアジア市場における事業展開の強化といったメガトレンドへの対応を図っています。世の中の変化やお客さまのライフスタイルの変化、そして環境・社会課題を長期的な視点から捉えて、いち早く変化に適応していくことがイオンのサステナブル経営であり、長期的な視点で持続可能な成長を果たすとともに、地域社会に貢献するグループという目指す姿にもつながっていくと考えています。

サプライチェーンの視点から気候変動に取り組む

 2018年に「イオン 脱炭素ビジョン2050」を発表し、取り組みを推進しています。企業の長期にわたる持続的な成長のためには、事業を通じて経済価値を実現すると同時に社会価値の創造に貢献することが不可欠です。
 「イオン 脱炭素ビジョン2050」への取り組みは、店舗での「エネルギー使用量の削減による省エネルギーの推進」「再生可能エネルギーへの転換」を軸として取り組み、2020年には2店舗で使用エネルギーの100%を再生エネルギーで運営開始するなど、着実に進捗しています。しかし、私たちが目指すゴールは、当社だけで脱炭素を達成するのではなく、日本全体が持続可能な状態で脱炭素を達成することにあります。私たちがビジョンを発表した2018年と比べると、脱炭素に対する社会の意識は高まっていますが、日本の再生エネルギー比率などを見ると、まだまだ課題は多いと感じています。
 また、気候変動による台風や大雨による洪水などは、食品の調達や物流、そして店舗運営の継続などに影響をもたらしており、重要な課題と認識しています。気候変動への取り組みは、2019年にTCFDに沿ったシナリオ分析を行い、リスク想定と事業継続のための対応策などの検討を実施しました。その結果、日々のくらしに必要な食品などに気候変動の影響が大きく結びついており、サプライチェーンへの影響を念頭においた戦略が必要であることが明らかになりました。TCFDにおいては目標値とされる2℃を巡って、企業と投資家との間で様々な議論が行われていますが、当社の場合一番重要なことは、気候変動の影響を考慮して、商品の調達・供給の計画を作っていくことだと考えています。今後は、ウィズコロナというテーマも踏まえ、グローバル規模の視点からサプライチェーンのリスクへの検討も進めていきます。

お客さまと直接接点を持つ小売業ならではの強み

 2020年7月には、国内でプラスチック製レジ袋の有料化が始まりましたが、レジ袋削減については様々な意見があります。企業としては、プラスチック問題が海を汚染するから問題なのか、それともCO2を排出するから問題なのかといったように、課題をどう捉えるかで解決方法が異なり、対策に応じた明確な共通認識がないことが、問題をより複雑化させているのではないかと感じています。
 このプラスチック問題への取り組みについて、社内でも1年をかけて議論を続けてきました。小売業としてアクションを起こしていくためには、小売業の最大の特徴を活かし、お客さまとともに一緒に考え、取り組んでいくことが重要です。イオンは、お客さまと直接接点を持つ企業である強みを生かし、「この問題について、一緒に考えませんか?」と問いかけ、共に行動に移すことができます。イオンでは1991年に「買物袋持参運動」を開始し、2020年2月末にはレジ袋無料配布中止店舗が2,256店舗にまで拡大しました。これらの店舗でのレジ袋辞退率は74.6%になるなど、長きにわたりお客さまにご支持いただいています。今回のレジ袋有料義務化をきっかけに、さらに多くの人が環境問題について考える契機になればと思います。
 今後の取り組みとしてイオンでは、①減らせるもの、なくせるものをなくしていく、②循環型社会の構築の2点が重要と捉えて取り組んでいます。プラスチックの循環に向けて技術的なことも含めて様々な課題がありますが、小売業として販売・回収の拠点となって、お客さまとともに循環型社会をもっと進化させていきたいと考えています。

サステナブル経営を実践

 今日、地球規模の様々な課題は以前と比べて拡大し、より複雑化しています。そうした中、環境問題だけではなく、地域社会にどれだけ貢献し、持続的に成長していくことができるかが、今まさに求められていると感じています。
 ここ数年の災害時で洪水が起きた際に、お客さまが「最後はイオンの立体駐車場に行けば大丈夫」と考えて来店されることで、実店舗が避難拠点として利用されたというエピソードがありました。日々のくらしを支えていくことはもちろん、有事にあってもお客さまの役に立ち、必要とされる存在とならなければ、当社は存続できません。
 当社の成長のみならず、環境・社会課題の解決を目指し、お客さまと地域社会に最も貢献する企業集団になることがイオンの目指す姿です。今後もイオンは、どのような環境・社会変化の中においても、お客さまのくらしを第一に、「持続可能な社会の実現」と「グループの成長」を目指すサステナブル経営を実践していきます。