環境担当からのメッセージ

イオンでの買物体験を通じて、
日々のくらしそのものが
自然とサステナブルに切り替わっていく社会へ

環境課題への取り組みは事業変革への機会と捉える

 イオンは、地域の繁栄とお客さまのくらしを豊かにすることを目指し、「イオン サステナビリティ基本方針」のもと、事業活動を通した環境・社会課題の解決に向けて取り組みを続けています。とりわけ環境課題への対応については、今や気候危機、食糧問題など、企業の事業継続への影響やリスクが顕在化する“待ったなし”フェーズにあり、環境課題に対応できない企業はステークホルダーに認められず、努力目標だけでは立ち行かない状況になりつつあると感じています。
そのような中、イオンは改めて戦略的にGXを推進し、環境課題の解決に向けたアクションを事業の変革や差別化に向けた「攻め」として捉え、ビジネスと直結した形で展開することを目指しています。
 当社の中期経営計画では、2025年までに「5つの変革」の達成を目標にしていますが、これらすべての成長戦略においてGXは必要不可欠と捉えています。従って、環境課題への対応を事業戦略そのものに組み入れていくことがGX担当としての私の責務であると認識しています。
 イオンは、日本・アジアで1万7千を超える店舗・拠点を展開しており、年間のべ40億人ものお客さまがご来店されています。店舗をお客さまとの接点として捉えれば、お客さまと環境課題をつなぐプラットフォームという側面もあるわけです。お客さまには植樹活動に参加していただくだけではなく、環境に配慮して作られた商品購入や、ペットボトルや食品トレーなどの資源回収、EVの充電ステーションの機能を活用していただくなど、私たちは様々な形でお客さまが環境保全に向けたアクションを起こすことができる場を提供しています。
 GX戦略ではそれをさらに進め、イオンでの買物体験を通じて、日々のくらしそのものが自然とサステナブルに切り替わっていく社会をつくる、それがイオンとしてGXに取り組む本質ではないかと感じています。

取り組み方針を策定し、戦略的にGXを推進する

 イオンのGXは現在、具体的な取り組み方針の策定に向けて検証を重ねている段階です。その前提として、これまでに設定した目標については、よりスピーディーに達成していきたいと考えています。例えば、脱炭素ビジョンでは、2030年までに日本国内の店舗で利用する電力の50%を再生可能エネルギーにするという目標を、またプラスチックの利用においては、2030年までに使い捨てプラスチック使用量を2018年比で半減するという目標を確実なものにしていくため、いずれの活動をも推進するパートナーとアクションプランとKPIの進捗確認を行うとともに、必要に応じて設定内容の調整にも着手しています。
 例えば、商品の環境負荷低減については、スコープ3(事業活動に関連する他社の温室効果ガス排出量)も大きな課題となるため、サプライヤーの協力なくして実現は不可能です。 パートナー企業とはそうしたことも想定に入れて協議を始めています。イオンは生産者と消費者をつなぐプラットフォームの役割を担っていますので、どちらにも関係が深いという特長を活かしてサプライヤーやお客さまに積極的に働きかけ、協調していくことで、流通のグリーン革命を実現することも可能ではないでしょうか。ステークホルダーを巻き込みさらなる深化と可視化ができる仕組みの構築を目指します。
 食品にまつわる環境課題は子どもを中心とした地域課題にも関連してきます。お客さまからの食品寄付「フードドライブ」や、事業の過程で発生したフードロスを活用してもらう場として、こども食堂等へお届けする取り組みも実施しています。また、子どもたちが環境への興味・関心や考える力を育むことを目的に、イオン チアーズクラブを通じて、全国のイオンの店舗を拠点とした環境学習や体験活動などの場を提供しています。地域におけるこうした活動は、しっかりと地に足を付けて今後も継続して取り組んでいきます。

ステークホルダーの皆さまとともに、ビジネスの両立を実践していく

 これまで環境活動といえば、ビジネスと離れた企業の社会貢献として位置すると思われがちでしたが、GXの取り組みの本質を知っていただければ、その考え方は変わるはずです。イオンは、従業員のみならず、お客さまやサプライヤーといった多くのステークホルダーの皆さまにも、より積極的に取り組んでいただくため、しっかりとGXの意義を伝えなければなりません。
 私はこれまでのキャリアの中で、環境課題について直接的に対応する機会がありませんでした。今回GX担当責任者という立場になり、様々な話を聞く中で、全人類共通の課題として環境課題は猶予の無い状況にあることを実感しています。一方、目の前の業務を抱え、環境課題に向き合う機会のない人たちの立場も理解しています。
 かつての私のような立場である従業員やサプライヤーの方々に、環境課題への取り組みとビジネスの両立を実践していただくことが、サステナブル経営への第一歩となります。皆さまの理解促進とともに、GXとしての成果もしっかりと出せるよう努めていきます。
 お客さまも昨今の温暖化による気温上昇を目の当たりにして、潜在的に「何かしないといけない」と感じているもののどのような行動をとればよいのかがわからない、そうした機会がないという方が多いのではないかと思います。今後、環境意識の高いZ世代が消費や労働の中心となります。Z世代に選ばれる企業であるためにも環境課題への対応は急務であり、企業にとってはGXを戦略的に導入することが前提になります。イオンは従業員が一丸となってお客さまとともにサステナブルな未来を築いていきます。