環境担当からのメッセージ
お客さまのライフスタイルの変化を促し、
地域を変え、社会を変えていきます
待ったなしの気候危機 持続可能な地域社会の実現に向けて
気候危機が、食糧問題や難民問題、国家の安全保障にすら深刻な影響をもたらす重大な脅威であるとの認識が世界的に広がり、事業継続に対するリスクが顕在化しつつあることで企業の危機感も高まっています。日本でも、猛暑や豪雨など、これまでの経験や予測を超える激しい気象変化が大きな脅威となっているものの、国や企業の動きは、欧州諸国に比べると十分とは言えません。
そのような中、当社はいち早く地球温暖化問題に向き合ってきました。様々な事業を展開している当社は、国内外で約2万の店舗を運営しています。店舗で使用する電気量は相当なものであるという観点で、2008年に国内小売業としては初めてCO2排出削減の具体的な数値目標を定め、2012年からは「イオンのecoプロジェクト」を開始しました。省エネ、創エネ、防災の切り口で目標を定め、省エネと創エネを進めると同時に、有事の際にはイオンの店舗が地域防災拠点となるよう施設のレジリエンス化に取り組んできました。その後、世界的な潮流が脱炭素に向かう中、2018年に「イオン 脱炭素ビジョン」を策定。店舗のCO2排出総量を2040年までにゼロにすることを目標に、現在は2030年までに店舗での使用電力を50%再エネ化する取り組みを進めています。
例えば、地域の余剰再エネを、EVを通じてイオンの店舗に供給いただけるようなスキームも構築中です。イオンだけの再エネ化にとどまらず、地域の中でお客さまと融通し合いながら、効率的な再エネの利用拡大に向けた地域づくりをするのが当社のスタンスです。こうした、お客さまとともに進める取り組みについては透明性のある情報開示していくことも重要であると認識しています。特に、気候変動対応に関しては、最新の将来シナリオに沿ってリスクと機会を分析し、長期的視野に立ち迅速な対応を図っていきます。
また、当社は資源循環型社会の実現を目指し、使い捨てプラスチックの使用量を2030年までに半減させる取り組みも進めています。イオンのブランド「トップバリュ」で使用する容器・包材はすべて環境・社会に配慮した素材を使用するとともに、ペットボトルに関しては100%再生または植物由来素材へ転換を図ります。取り組みの柱として、イオンの店舗でお客さまから回収するペットボトルを再商品化して資源循環体制の構築を目指す「ボトル to ボトル プロジェクト」を進めています。1991年から実施している店頭での資源回収に、多くのお客さまが賛同してくださっているからこそ実現できていると言えるでしょう。
お客さまをはじめとするステークホルダーの皆さまとともに進める環境・社会活動
多様な事業を各地で展開しているイオンには、毎日多くのお客さまがいらっしゃいます。お客さまとの貴重な接点である店舗を、地域活動の拠点として活用することもイオンだからこそできることです。例えば植樹活動もその一つ。1991年に始めた「イオン ふるさとの森づくり」は、新店が開店する際に地域の皆さまと敷地内に地域由来の苗木を植えて育てる活動です。10年、20年と育まれた木々が立派な森となり、CO2吸収や防災などの役割を担っています。また、これらの森が持つ生物多様性価値を測定する「いきもの調査」を、地域の子どもたちと実施するなど、環境教育の場としても活かされています。
このほか、(公財)イオン環境財団による植樹や、東日本大震災で失われた森の再生を目的とした植樹など、イオンは30年にわたって国内外に1,200万本を超える木を植えてきました。次世代人材の育成、そして地域貢献など、植樹活動を通じてイオンならではのネットワークを構築し、それらを有機的に結びつけながら大きな社会活動へと育てていく。これこそがイオンが推進するサステナブル経営であり、企業そして従業員一人ひとりに根付いた文化なのです。
また、イオンは、多くのサプライヤーの皆さまと連携して事業活動を行っています。原料調達から商品化、物流、販売まで、サプライチェーン全体に責任を持つというポリシーのもと、サプライヤーの皆さまと安全・安心の確保に努めています。働く方々の雇用や労働環境は適切か、法令を遵守しているか、環境や社会に悪い影響を与えていないかなどを確認し、改善につなげています。
例えばトップバリュのサプライヤーさまには取引行動規範の遵守をお願いし、客観的な審査やコミュニケーションを通じて一緒に課題解決に取り組んでいます。また、脱炭素に関しては、主なサプライヤーさまの気候課題への取り組み状況や、イオンへの要望などをヒアリングし、サプライチェーン全体におけるCO2削減をより確実なものにするための取り組みを開始しています。
グリーンを事業戦略に組み込み 持続可能な社会の実現へ
環境・社会課題への取り組みはサステナブル経営の柱です。とはいえ、イオンが単独で成し得ることではありません。もちろん、従業員の個々の意識を高め、我々が率先して行動すべきことはたくさんありますが、お客さまには「イオンに行けば自然に環境や社会にとって良い行動がとれる」と思っていただけるような新しいライフスタイルのご提案をし続けることも大切です。そして、地域社会の方々やサプライヤーの皆さまには「イオンとなら、ともに持続的な成長が期待できる」と思っていただけるよう、グリーンを事業戦略に組み込み、環境を成長へのドライバーとしていきます。
イオンの活動の中心には常にお客さまがいます。お客さまのくらしが、この先もずっと豊かで、健やかなものになるよう、イオンはサステナブル経営を実践していきます。