会長からのメッセージ

これからもイオンは
「お客さま」と「地域社会」に
最も貢献する企業集団へ変革を続けます。

取締役 兼 代表執行役会長
岡田 元也

市場やお客さまの変化を長期的な視点で見据える

イオンは、2019年、前身のジャスコ株式会社設立から50年、平成元年(1989年)のイオングループ発足から30年の節目を迎えました。また、平成から令和へと新たな時代がス タートしましたが、私たちはいつの時代も「お客さま第一」の姿勢を貫き、市場やお客さまの変化を見据え、長期的な視点で持続可能な成長と地域社会に貢献するグループを目指し、企業価値向上に取り組んでいます。
近年、小売業を取り巻く環境は、かつてないほどのスピードで変化しています。お客さまの嗜好やニーズは、健康志向や低価格志向に加え、地球環境・地域社会に配慮したエシカル 消費への関心が高まるなど多様化するとともに、Eコマース事業を主とする企業の存在感が一層強まっています。また、10月には消費税が増税され、個人消費については節約志向 が益々強まっています。
このような環境のなか、当社グループは、「絶えず革新し続ける企業集団」として、「イオングループ中期経営方針(2018~2020年)」において変革の方向性として掲げた「リージョナルシフト」「デジタルシフト」「アジアシフト」と、それらを支える「投資のシフト」を推進し、それぞれの地域と領域においてナンバーワン企業になるべくグループ構造改 革を着実に実行しています。

中期計画の4つのシフトを確実に遂行する

2019年度は、3つのシフトへの実行スピードを更に加速するため、新たに3名の代表執行役副社長事業担当を配置するとともに、プラットフォームの強化として、物流とICT担当 を配置し、スピード感を持って経営課題の解決と経営目標を達成する組織体制に刷新しました。
また、地域での競争力を圧倒的に高めるため、国内6地域においてスーパーマーケット事業のグループ各社の経営統合を進めています。3月、中四国地域においてマックスバリュ西日 本株式会社が株式会社マルナカと株式会社山陽マルナカを子会社化、9月には東海・中部地域において、マックスバリュ東海株式会社とマックスバリュ中部株式会社が新体制に移行しました。従来のビジネスモデルから変革し、地域で最も貢献するスーパーマーケット事業を早期に確立することで、各地域No.1の市場シェアを獲得してまいります。
アジアでは、日本同様にGMSフォーマットの確立やEコマースなどのデジタルシフトを推進するとともに、ベトナムなど特に高い成長が見込まれるエリアへの経営資源の集中的な投下を進めています。2019年6月には2014年オープンのベトナム1号店を約2倍の規模に増床し、リニューアルしました。また、最先端ITの導入が進む中国にグループのデジタルシフトの拠点となる新会社を設立しています。中国で開発したデジタルシステムをアセアンや日本への導入を視野に入れ、「デジタルシフト」を推し進めるとともに、アジアでの事業展開を加速してまいります。
また、長期持続的に成長していくために、国内のみならず、海外でも通用するマネジメント人材、人事や財務、IT 等のスペシャリストという二つのタイプの人材の育成が必要と考 えています。グループ全体からこれらの人材を発掘・育成していけるよう人事を中心にシステムおよび制度の構築を行い、この中期経営方針期間に運用開始まで進める予定です。

トップバリュの変革

お客さまの食の嗜好の多様化といった現在の世界的な消費の変化から感じることは、これまでの大量生産、大量消費に対する評価が下がってきているということです。この流れ は、今後日本においても表れてくると思っています。こうした変化の中でイオンのプライベートブランド「トップバリュ」は、ナショナルブランドとの違いをしっかりと打ち出し、お客さまに支持されるものにしなければなりません。それは、地元の新鮮な商品であったり、添加物の使用を極力控えたものなど、身体によいと実感できるものなのだろうと思っています。そうしたローカルで小さな規模のものを「トップバリュ」に取り込んで、今までとは全く違うものに変革させていくことが必要と考えています。

ウエルネス&ダイバーシティの推進で、個の力をグループの力へ

1969年のジャスコ発足時より、人材こそが最大の経営資源であるとの信念を持っています。その人材が健康で能力を発揮し続けられるように、従業員の健康づくりを企業活動の 要と位置付けています。従業員が健康であってこそ、お客さまにも健康と幸福をもたらすサービスが提供できるようになるとの考えのもと、健康経営を推進しています。
また、社会の変化や消費者ニーズの多様化に対応していくには、従業員一人ひとりの価値観や考え方の違いを尊重し、多様な人材が活躍できるダイバーシティの推進が重要であると認識しています。女性活躍の推進、外国籍従業員のグループ内国際人材交流や障がい者雇用などをKPIとし、グループを挙げてダイバーシティ経営を推進しています。これからも「人権と多様性」を重視し、ダイバーシティをイオンの競争力の源泉として、革新への挑戦を続けます。

事業を通して、環境・社会課題の解決を目指すサステナブル経営を推進する

イオンは、不変の基本理念のもと、「持続可能な社会の実現」と「グループの成長」の両立を目指すサステナブル経営の実践に努めています。企業が持続的に成長していくために は、ESGの視点に立ち、環境・社会が抱えるグローバルレベルでの課題解決を経営戦略に織り込み、長期的に実行していくことが重要です。
このサステナブル経営を実践するため、グローバルなCSR基盤づくりも継続して強化しています。2004年に日本の小売業としては初となる国連のグローバル・コンパクトへの参加を表明し、「イオンサプライヤーCoC(取引行動規範)」などの取り組みを進めてきました。2018年には、お取引先さまを含む全てのステークホルダーに配慮した「イオン人権基本方針」に改訂しました。
小売業の事業特性を活かした取り組みとしては、2006年に国内小売業で初めてMSC認証商品の開発・販売、2008年に国内小売業で初めてCO2排出総量の具体的な削減目標を定めた「イオン温暖化防止宣言」の策定など、世界に先駆けて様々な取り組みを行ってきました。さらに新たな挑戦として2017年4月に「イオン持続可能な調達方針」・「持続可能な調達2020年目標」、同年10月に「イオングループ食品廃棄物削減目標」、2018年3月には「イオン 脱炭素ビジョン2050」を策定・発表しました。このように、事業を通して環境・社会課題の解決に取り組み、お客さまをはじめ行政、地域の方々とともに、それぞれの地域に根ざした活動を推進することは、皆さまに共感いただけるものと確信しています。
今後も、イオンピープル一人ひとりが変革に挑戦する企業集団であり続けるとともに、日本をはじめアジアに広がる店舗ネットワークの強みを活かし、最もお客さま満足に徹する 企業として、サステナブル経営を実践していきます。

以上

(2019年10月)

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