03 マックスバリュ東海株式会社
マックスバリュ東海は、お客さまにとってなくてはならない地域一番店を目指しています。この目標を具体化するために、「何よりもお客さまの利益を優先しよう」という企業理念を上げました。まずは第一にお客さまを向き、お客さまにとっての利益を考える。従業員一人ひとりがお客さまの利益を意識して取り組むことで、結果として企業と、そこで働く従業員の幸福にもつながると考えています。
※情報元:マックスバリュ東海「トップメッセージ企業理念」ページより
マックスバリュ東海株式会社 取締役
ダイバーシティ推進室長 兼 デリカ商品統括部長
遠藤 真由美
endo mayumi
1988年にマックスバリュ東海株式会社に入社。
商品統括本部デイリー部長、商品統括本部惣菜部長、商品統括本部デリカ部長を経て、デリカ商品統括部長に就任。2014年4月からはダイバーシティ推進室長を、さらに5月からは取締役も兼務。女性がいきいきと働ける環境づくりや地域活性化に向けた取り組みに力を注いでいる。
マックスバリュ東海について
マックスバリュ東海(株)の特徴や魅力、東海での役割についてお聞かせ下さい。
お客さまの声に耳を傾け、地域一番店を目指す。
マックスバリュ東海株式会社は、静岡県を中心に、神奈川県、山梨県、愛知県にてスーパーマーケットを運営しています。企業理念である「何よりもお客さまの利益を優先しよう」の実践に向け、従業員の一人ひとりが自ら考え、自ら行動する企業風土の醸成を目指すとともに、ダイバーシティ経営の推進を通じ、従業員の様々な価値観の尊重と、誰もが働きがいを持っていきいきと活躍できる職場環境の構築に努めています。
私たちを取り巻く環境が大きく変化する中で、お客さまから継続したご支持をいただくために、私たちがこだわっているのが「地域密着経営」。その一例として、それぞれの地域で収穫・生産され、地元のお客さまに親しまれている“じもの”商品の拡充をはじめ、地域を知るフレックス社員(パート社員)を中心に店舗ごとに組織する委員会にて、地域のお客さまの多様なニーズにお応えし、個々の店舗が地域に根ざした店舗運営の実現に努めています。
こうした事業活動を通じて、私たちはこれからも地域のお客さまの声に真摯に耳を傾け、地域社会との共生を図ってまいります。
ダイバーシティ経営に向けた取り組み
マックスバリュ東海(株)のダイバーシティ経営に向けた具体的な活動をお聞かせ下さい。
全社員が自信を持って働ける環境へ
ダイバーシティ推進室は2013年からプロジェクトを発足、女性活躍推進への取組みからスタートし、女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業として認定され2016年に「えるぼし」を獲得。同年に、男性も育児に参加できる制度を充実させ、静岡県の「子育てに優しい企業」に表彰されました。さらに、沼津市の男女ともに働きやすい職場環境づくりを積極的に取り組んでいる事業所として「男女共同参画推進事業所」に認定されています。2016年度「短期育児休暇」制度導入してから男性10名が休暇を取得しておりますので、2019年には、子育て企業「くるみん」の取得を目指しています。このように、女性の従業員の働きやすい環境はもちろん、だれもが働きやすい企業を作るために一歩一歩前に進んでいます。
当社には地域特性を知るフレックス社員(パート社員)が中心となって組織する「フレックス委員会」があります。フレックス委員会では、「お客さま視点」で『期待を感動に変える』をテーマとして、全従業員が一丸となってお客さまに喜ばれる取組みを考え実行しています。フレックス委員会の取組みから、お客さま視点で考えた商品が好評を得たり、従業員の働き方についての提案が全社で共有されることなどがありました。また、フレックス委員会の活動を通して、地域・店舗をさらに盛り上げたいという強い意志を持った従業員が上位職を目指し、店舗管理者に登用されるなど、従業員の能力発掘・発揮に大きな影響をもたらしてきました。
具体的な事例として、フレックス委員会の商品開発における女性の活躍に関するエピソードです。「フレックス委員会」の活動で、店舗を構える興津(静岡県静岡市清水区)が、あんこ発祥の地である事を知り、伝統を守った興津あんを製造している地元の松永製餡所さまを訪問し、「地域の美味しい食や文化」をどのように伝承し、お客さまにご提供させていただくかを考え、実行し、興津あんを使用した「興津あんぱん」を開発しました。販売していく中で、「興津あんぱんの小さいサイズがほしいね」という提案から「興津あんぱん」のミニサイズ「興津っこ」が誕生。フレックス委員会のメンバーが興津にふさわしいシール・焼印もデザインして店舗全員の力で「興津らしさ」を提供しています。
この企画のリーダーをしていた伊藤さんは、副店長として異動したマックスバリュエクスプレス清水駅前店で、「興津あんぱん」をベースに清水の地元の塩を加えた「港っこ」あんぱんを開発。現在同店舗で販売しています。このように、店舗周辺の地域特性に詳しいフレックス社員が主体となるフレックス委員会活動を通じて、仕事の幅をさらに広げたいというフレックス社員が続々と現れ、企画と実績が評価されたフレックス社員が管理職に登用されている事例も多数出ています。
また、マックスバリュエクスプレス下田銀座店ではお客さま視点に立った働き方改革が進んでいます。フレックス委員会のメンバーが部門の枠を越えた働き方をする「オール部門制」を推進しました。「やれない」「時間がない」などのネガティブな発想を止め、「やってみよう!」「作ってみよう!」といったポジティブな考え方に転換。「全員で仲間を助けるために行動する」という合言葉を、店舗全体に浸透させていきました。その結果、部門間のコミュニケーションの活性化や従業員のモチベーションアップにつながり、店舗業績の改善に貢献しました。この考え方は、好事例として全店舗に共有されています。
このように、フレックス委員会がお客さま視点で考え・行動する事からスタートし、より良い商品・サービスの提供だけではなく、従業員の働き方・考え方にも大きな変化をもたらしています。
ダイバーシティを推進する中で見えてきた課題と解決策
ダイバーシティを推進する活動から見えてきた課題はありますか?
女性が学べる場所をつくる
マックスバリュ東海は、地域密着経営を推進し、持続的な成長を目指しています。そのため、従業員の8割を占める女性が自信を持って活躍できる職場環境を構築することが重要だと考えています。女性活躍を推進するにあたり社内アンケートを行ったところ、数字やリーダーシップに自信がないという意見が多く出ました。
その不安を取り除くべく開始したのが「女子力アップ勉強会」です。上長の推薦を受けた、自ら学びたいと思う女性社員を対象に、毎年約30名が参加しています。過半数がフレックス社員で、皆、卒業後は計数管理を営業活動に活かしたり、上司や同僚と力を合わせて業務改善をしたり、全員が店舗経営を考えられるようになりました。店長や副店長といった責任ある職位に登用されて活躍する卒業生も年々増えており、今後も卒業生一人ひとりの成長ぶりを把握し、それを記録することで次代管理職育成につなげていきます。
ダイバーシティを行う上での苦労や工夫
ダイバーシティ経営の取り組みをしていく中で、苦労したことや工夫したことをお聞かせ下さい。
試行錯誤を重ね、その都度、改善。
手探りで開始した勉強会も5年目を迎えました。1期あたり年間で8回実施する勉強会。毎回受講生の意見を聞き、都度、改善を重ねています。一度決めたことを枠にはめるのではなく、柔軟性や多面性を持って「どうすればもっと良くなるか」を考え、試行錯誤することが大事です。社長をはじめ経営陣も同じ考えを共有しており、毎回、講師として登壇するのを楽しみにしています。
受講者のほとんどは元々高い意欲を持って参加していますが、スキルを身に付け、自信を持つことで、さらにモチベーションが上がり、卒業後ますます活躍しています。卒業生の頑張りを見て、私たちも「もっと受講者の期待に応えたい」と、組織を横断したフレキシブルな挑戦を続けています。従業員が協力し合える企業風土の醸成と、皆がいきいきと活躍できる職場環境の構築に向け、確実な成果をもたらしていると手ごたえを感じています。
今後のビジョン
マックスバリュ東海(株)の、今後のビジョンをお聞かせ下さい。
ダイバーシティ経営が当然のこととして語られる組織へ。
企業として持続的な成長を果たすには、従業員一人ひとりの価値観を尊重した人材育成が不可欠であると考えております。ダイバーシティ経営の推進を通じて、育児や介護など様々なライフスタイルに応じた働き方を実現する各種制度の整備や、目指すキャリアに応じた研修などを実施するとともに、従業員一人ひとりがお互いを思いやり、協力し合える企業風土を醸成することで、誰もが働きがいを持っていきいきと活躍できる職場環境を構築したいと考えています。